ポータルの扉を叩けば

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「私、帰り…たくない…。」




私はすでに手に持っている紙を見つめた。




その紙には、今まで考えた帰る方法の案が、たくさ

ん書いてある。







壱「…何言ってんだよ、冗談だって！さっきのは忘

れろって言っ…」


「私っ、このままみんなと…壱馬くんといた

い！！」







手を止めて、驚く壱馬くん。



だけどすぐに、また紙を拾うのを再開して、



壱「…お前は帰らなきゃいけないんだよ…。こっち

の世界にいちゃいけない…。」





「なんで…？いつまでもいていいって言ってくれた

じゃん！」




壱「それはっ！…帰る方法が見つかるまでの話しで

あって…、」



「嫌っ…。ここにいたい…。」




私は目頭が熱くなる。




人間って、欲深くできているものだと、つくづく思う。





壱「…だけど、このままずっとってわけにはいかね

ぇだろ…。お前には…家族が待ってるんだか

ら…。」





壱馬くんは紙を見つめたまま言った。





「…そうだね…。部屋、貸してくれてありがと

う。」





私は自惚れてた自分も恥ずかしくなり、また急に突

き放されたのも悲しくなり、壱馬くんの部屋を飛び

出した。









壱「慎、いつまで狸寝入りしてんだよ。」



慎「やっぱバレてましたか…。苦笑

完全に起きるタイミング逃したもんで。」




壱「俺は何がしたいんだか…。」


ボフンッ(ベッドに横になる)





慎「壱馬さん…。」








ーーーーーーーーーー




それから壱馬くんと顔を合わせることが、少なくな

った。




帰ってきてはいるみたいだけど、出たり入ったりし

てるようでもう2〜3日会ってない。






でも壱馬くんだけじゃなくて、北人くん以外のみん

なも同じで、きっと仕事だかなんだかが忙しいんだ

と思う。




未だに何をしに彼等がいなくなってるか、聞けずな

状態だけど…。






北「ねぇー、もう今日は終わりで良くない？」



「まーだ！次はこれやってみるから手伝って！」




そしてここから出られない私と、お留守番の北人く

んは元の世界に帰る方法を一つ一つ試している状態

が、2〜3日続いている。




よく映画とかである、高い所から落ちてタイムスリ

ップなり、異次元移動を試みてみるために、私は消

防車に登る。




北「ちょっ…、ほんとにやるの？壱馬たちじゃない

んだから、Aは怪我するよ！」




でも、やるしかない。

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