ポータルの扉を叩けば

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その時、彼が現れた同じ物陰から

更に何人かが勢いよく現れた。





陣「北人！大丈夫か？！」


樹「北人さん！」


翔平「あいつらか？！」







「えっ？！」



なんでランペがここに…？！





北「あぁ、うん。大丈夫。」





吉野ではない北人くんは、差し出してくれていた手

を引っ込めて、ニッコリと彼等の方を向く。






陣「物音がするから来てみたら…って誰？」



樹「どうやってここに入った？」



樹くんに関しては、ものすごい怖い顔で睨まれる。





「えっ…、どうやってって言われても…、」



分からないんです、なんてとても言える空気ではない。






北「少し怪我をしてるみたいだし、危害を与えそう

な危険はないから、とりあえず壱馬の所に連れて行

こ。」




壱馬って…、あの川村壱馬もいるの？！



どうしよう…、本格的にこの状況が分からなくなっ

てきたぞ…。






陣「でも…、」



北「大丈夫です、俺から話します。立てる？」





そう言ってまた差し出してくれた北人くんの手に捕

まり、私は立ち上がる。





「ありがとう…ございます。」







こっち、と連れて来られた場所はひらけた場所で、

相変わらず錆びついた物であふれていた。






北「壱馬、来客だよ。」




北人くんは私の隣で、少し上を見上げて呼びかける。





すると、目の前の古びた大きなトラックの上でカー

キ色が動き、ゆっくりと振り返る。





やっぱりそうだ…、川村壱馬だ…。






でもテレビやSNSで見るような爽やかな印象はな

く、暗くどこか人を寄せ付けない雰囲気を醸し出し

ている。





壱「誰だお前。」



そう冷たく言い放たれる。





「えっと…、AAです…。」




壱「聞かねぇ名前だな。」




そして壱馬くんはフイッと、目線を違う方へ変えて

しまった。





北「物音がしたから、見に行ったらこの子がいたん

だ。でも状況が分かってない感じで…しかも俺の名

前を知ってた。」




その瞬間、壱馬くんは勢いよくこちらを振り向く。






壱「なんで知ってんだよ…。」





北「ヨシ…？なんだっけ？」


と、北人くんは私に首を傾げて聞いてくるので、




「吉野北人…です。」




ほらね！と、少しドヤ顔で壱馬くんを見上げる北人

くん。

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