一期一会 (ページ36)

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田上「ん、おいしいねこれ。」

田上さんは私の買ってきたお土産を美味しそうに食

べている。

一緒に食べようよと誘われたけど、さすがに事務所

で食べるのは身が引けるので、ちょっとした休憩ス

ペースへ来た。

田上「ちょっと。さっきから口数少ないよ。

ライブは無事に終わったって聞いてるけど？」

「ライブは確かに無事に終わりました…。」

田上「じゃ何よ、その死んだ顔は。笑」

私はテーブルに頬杖をついたまま、

「いや…私、期間限定じゃないですか？

次のライブは同行しないかもって思ったらなんか、

すごく悲しいなーって…。」

田上「あぁ、そうゆうこと。

ま、確かに期間限定のマネ補助だもんね。」

メンバーとお仕事をさせてもらうようになってから

もうすぐ2ヶ月がたとうしている。

最初の話し通りなら、私はもうすぐお役目終了ってことだ。

田上「てかそれは、どうゆう心境？その仕事をもっ

とやりたのか、メンバーと離れるのが嫌なのか。」

「んー…わかんないです…。」

その時、すぐに頭に浮かんだのは迷いもなく壱馬さんの顔。

いやいや、違う！壱馬さんだけじゃなくてメンバー

全員と離れるのも嫌だなぁ。

でもなんかこれって公私混同してるみたいで、情けない。

田上「まぁさ、どちらにせよ良い経験できたんだか

らこれをバネにして事務仕事から、企画に抜擢され

るようになれば、またみんなとも仕事できるじゃない？」

「そうですね…。みんなも頑張ってるし、私も落ち

込んでないで頑張らなきゃですね！よーし、気合いだ！！」

その勢いで立ち上がったもんだから、座ってた椅子

を倒してしまい、穴があったら入りたかった。

メンバーのみんなも、私も目標に向かっていかなき

ゃいけない。

みんなといるのが楽しくて、

この仕事が楽しくて、

壱馬さんの存在にドキドキして、

本来ここにいる存在理由を忘れかけていた。

最後まで全力を尽くしてみんなを、

そして壱馬さんをサポートしなきゃ。