一期一会 (ページ16)

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あれから次の日、田上さんから電話で一部始終を聞

いて、冷や汗が止まらなかった。

まだペーペーの身で酔っぱらってアーティストの

人にめんどくさい絡みをしていたなんて…。

とにかく、謝罪だ。謝罪会見だ！！

いつもより足取り重く、会議室へ向かう。

手には帽子の入った紙袋を下げて。

今日はメンバーと企画の打ち合わせ。陸さんは早め

に来るタイプだからきっともういるはず。

ガチャ

陸「あ！おはようございます！」

壱「おはようございます。」

「この度は、大変失礼極りない態度で、多大なるご

迷惑をおかけして申し訳ござ…」

陸「ちょちょっ、ちょっとAさん、なにその謝罪

会見みたいな入り！笑」

壱「何やらかしたんすか。笑」

「田上さんから聞きました。私が酔って無駄絡みし

た上に、陸さんの帽子持って帰ったみたいで…。」

陸「あぁ～！あれね。笑 Aさん気に入ったみた

いだったから、返さなくても良かったのに。」

「いや、こんな大切にしてるものダメですよ！」

ほぼ無理やりと言っていいくらい、陸さんの手に紙

袋を持たせた。

陸「じゃ、これは受け取ります。でもまた飯は行っ

てくださいね！」

「こちらこそですよ！でももうお酒は控えます…。」

壱「2人で飯行ったんすか？」

「いやいや！この前、陸さんからお誘い頂いて陸さ

んと陣さんに焼肉に連れて行ってもらったんです

よ。事務の先輩も一緒に。」

陸「そうそう、たまたまその日食べたいものがA

さんと一緒ってことが分かってね。」

壱「そうなんすか。」

あれ？壱馬さんさっきよりちょっとご機嫌斜め？

こんなペーペーがアーティストの方とご飯行くなん

て100年早いんだよ、とか思われたのかな…。

それから壱馬さんはこの話しに触れることなく、次

に来た翔平さんに何事もなかったのように絡みに行

った。