一期一会

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〜壱馬〜



壱「おつかれさまでした。」





新曲の宣伝活動を終え、帰れると思ったらまさか

のボーカル3人だけマネージャーから事務所に寄る

よう指示され、現在に至る。






マネージャーとの話しを終え、陸さんと北人と事務

の方たちのデスクがあるスペースを抜けて出口へ向

かっていたら、ふと見覚えのある背中が見えて俺は

その背中の後ろで立ち止まった。






壱「ん？」


俺の後ろを歩いていた北人が急に止まった俺にぶ

つかりかけ、

北「うわっ。どしたの？」




壱「この背中…Aさんじゃね？」



北「あぁ！そうかも！今日この服着てたかも。それ

にしても爆睡してるね。」




そう言いながら、北人はデスクに突っ伏して少しし

か見えないAさんの顔を覗き込んだ。





北「陸さーん。Aさん発見です。」



俺らが止まったことに気づかず、少し先を歩いてい

た陸さんを呼び戻す。





陸「ほんどだ〜、グッスリ寝てる。これなんだろ
う？」






Aさんが顔を伏せている下に、ノートが開いてあった。


そのノートは寝てしまった後にズレたのか、だいぶ

ページの内容が見える位置にあった。




壱「たぶんこれ、俺らのこと知るために作ったA

さんのノートですよ。」



陸「そうなの？ちょっと気になる〜。」


北「確かに。グッスリ寝てるし、ここから取り出し

てもバレなさそう。」


壱「え、勝手に見るのはマズくない？」





そんな俺の言葉を無視して、北人はそーっとノート

を引っ張り出してパラパラめくり出した。





陸「えっ、これ俺らってことだよね？笑」


北「でしょうね。それにしても似てない。笑

俺こんな眉毛太くないし〜。」






ページの途中にあったのは、お世辞でも上手いと言

えない手書きでメンバー全員の似顔絵が書いてあった。


似顔絵の下には一人一人のポジションや、好きなも

の、性格なども書かれていている。






陸「ねぇ俺の性格のところ、筋肉って書いてある！

Aさん俺の性格、筋肉ってしか思ってないのか

な〜。泣」



壱「いや性格が筋肉っておかしいでしょ。笑」








3人でAさんが寝ていることなど忘れてノートを

見ながらキャッキャッとしていた時、





ガタッ



「はい！すいませんでした！！！」




壱陸北「「「うわぁあぁ！！！」」」




「え？！！」



Aさんが、いきなり寝言言いながら立ち上がって

起きるもんだから、俺らの寿命が縮まった。

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