nostalgic ２

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ユズはきっとこう言いたかった。



彼と話せるよう北人くんに

頼んでみたら？って…。





確かに、それを頼むことは可能だ。



彼と繋がる唯一の人だし…。




私はゆっくりと、通話ボタンに指を向ける。







だけどすぐにホームボタンを押して、画面は一気に違

う画面に変わった。







やっぱりできない…そんなこと…。





お願いしたところで、自分が傷つく確率が高いのはも

ちろん、彼に迷惑と思われたくない。






例え覚えていなくても、彼の中での最後の私をそんな

印象で終わってしまうのは…。






「はぁ…。」




ボフンッと、そのままベットに倒れ込みため息一つ。








私は、どうしたいんだろ…。




諦めるために東京に来たはずなのに、またグズグズ迷

い出して…。





おまけにユズにも強く当たっちゃって、ほんと最

低…。






「こんな自分、嫌だ…。」





ぽつりと呟いても、誰も返事はしてくれない虚しい部

屋で私は目を閉じた。






明日には、今日あったことが全部白紙になっていれば

いいのに…と思いながら。









ヴーヴーヴー



どこからか感じる振動。



これは…電話だ…。




目を瞑りながらも、少し冷たいシーツを左右に撫でな

がら振動のありかを探せば案外早く見つかった。





「はい…もしも、」


母「やっと出た！もう昨日の夜から何にも連絡しない

で！ちゃんとホテルに帰れたの？！」






お母さんの声で耳がキーンッとなり、電話を少し離

す。




「ごめんごめん。ちゃんとホテルにいるよ…って、今

何時…？」





うっすらと目を開ければ、カーテンを閉め忘れた窓か

らは煌々とする光が目を刺した。




あぁ…私、あのまま寝ちゃったんだ…。







母「まったくもう…。あれだけ連絡とれるようにして

おいてって言ったのに！もう今は１１時ですよ、寝坊

娘さん。」






「１１時か……って、え？！

１１時？！ヤッバイ！！」





私は、携帯片手に飛び起きる。





「ごめん、お母さん！また後で連絡する！！」


母「ちょっと、A？！」






慌てて洋服を脱ぎながら、私は片手に携帯でそう告げ

てシャワーへ向かった。









ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ！！




ライブは夕方からなのに、うっかりお昼近くまで寝て

しまった…。







慣れない場所だから余裕もって行こうと思ってたの

に、爆睡してしまうなんて…。泣

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