nostalgic ２

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北ー俺は見れてないけど、

取材されたんだってねー




同時に先ほどの北人くんの言葉を思い出し、壱馬くん

から聞いたんだなと気づく。




壱「情けねぇけど北の後押しもあって今、俺はここに

いる。」





すると苦笑いしてた壱馬くんは、狭い空間を更に距離

を縮めて、






壱「俺…、Aが好き。あの時からずっと…。」



「でも私っ…、」





田舎者だよ？可愛くないよ？

素直じゃないし、なんの取り柄もないし。


あなたの隣に立てるほど、私も自信がないよ…？





そう言おうと思ったのに、腕を引かれて私は壱馬くん

の懐にすっぽりとおさまった。




小さな折りたたみ傘の中で、二人の距離はあの時と同

じく再度ゼロになる。






壱「もうまどろっこしい優しさは、お互いやめや。周

りがどうのとか、俺がどうのとか無しでAの気持

ちを聞かせてほしい。」




そして壱馬くんはゆっくりと私を離して、見つめてく

る。



「私はっ…、壱馬くんに釣り合わないし、この先一緒

にいてもいつか重荷になる…。その時、壱馬くんの夢

を壊したくない…だったらこのまま、いなくなろう。

そう思って私もあの時、東京から黙って帰りまし

た…。」




だから…突き離さなきゃ…、と思うのに人間欲ばりに

できているのか、ユズの言葉や北人くんの言葉が脳内

リピートされる。





ユズーみそじは自分に厳しすぎだよ…。もっと欲張っ

ていいと思う。過去がどうとか、今がどうとかじゃな

くて、壱馬くんのことが好きなら好きでそれで良いん

だよ…？ー




北ーこれじゃお互いがお互いを思いやってるつもり

で、そうじゃなくなってる…ー






そして最後に、お母さんの言葉が




母ー何事もやって後悔するより、やらないで後悔する

ことほど、悔しいものはないわよ？ー





揃いも揃ってみんな、後退りする私の背中を押してく

れたんだね…。




そう思ったら、なんだかもう必死に蓋をしていた自分

の気持ちが沸騰したかのように器から溢れて出てくる

感覚になる。




「…だけどもう何しててもどこにいても、ずっと壱馬

くんが私の中にいるんです！しかもこうやってまた、

会いに来ちゃうし！どうしてくれるんですか？！この

前も言いましたけど諦めたくても、諦められな

い…。」






言えば言うほど自分の視界は滲んでいき、壱馬くんの

下半身が歪む。

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