nostalgic ２

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父「まぁ…よく考えたし

よくやったよ。」



タカシ「そうだそうだ！あんな目先の金にしか目がな

い奴らに、申し分無いくらい立派な企画だった！」





二人を見上げ、引きつるように笑った私は荷物をまと

めた。









それからは、いつもの日常。



結局、私の提案した企画に対しては誰も音沙汰無しで

たぶん、もうそれはダメだったってこと。






そして相変わらず北人くんからの連絡もあるものの、

さすがに回数は減り毎日ではなくなった。





もちろん電話に出ることもなければ、かけ直すことも

ない。






メールよりも電話をし続けてくる北人くんも北人くん

だけど、ほんと我ながら自分も頑固だよね…。







「…はぁ〜あ…。」



お店の看板をopenからcloseにひっくり返した私は、

お店に入るや否やレジ台にうなだれると、売り上げを

数えていたお母さんが笑った。





母「そーんな落ち込まないの！まだ立ち退きが決まっ

たわけじゃないんだから〜。」





「だって…このままじゃ、」


父「大丈夫だーって！なんとかなる！」




工房から出てきたお父さんは、ガハハッと笑ったが私

とお母さんは冷ややかな目で見る。





「なんとかなるって言われても…、」


母「ほんとお父さんはお気楽なんだからっ！」






その時、閉店したはずのお店のドアが開き、スーツ姿

の二人組がキョロキョロしながら入ってきた。




ついに来たか…。


それを見た私たち家族は、身構える。




だって、その人たちの正体はだいたい予想がつくか

ら。





男１「突然、申し訳ございませ〜ん。私たち、こうい

う者でして…。」



そう言いいながら、背広の胸ポケットから丁寧に出さ

れた名刺を私たちに差し出す。





父「うちは、どかないぞ。」



名刺を受け取るなり、お父さんは険しい顔でスーツ姿

の二人を見た。




男１「そのお気持ち、察した上でこちらを参考にして

頂ければと思いまして。」





さらに手渡された紙をお父さんに駆け寄り覗いてみる

と、そこには相変わらず立ち退きをした場合の金額が

予想よりはるかに上回って記載されていて、つい驚き

の声を上げてしまう。





父「こんなん、誰が食いつくか！」



お父さんはその紙を勢いよく丸めて、ゴミ箱に捨て

た。





男１「…娘様ですか…。跡継ぎが途絶えてしまうと、

どちらにせよ手放すことになる。その時の金額を考え

たら今、精算された方が賢明かと…。」

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