nostalgic ２

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見慣れたホームに降り立つと、

嗅ぎ慣れた少し土っぽい匂いが

鼻をついた瞬間、安心感に

包まれる。




私は数時間前までいた駅とは正反対とも言える改札を

出て、立ち止まった。






帰ってきたー…、アウェイからホームに。




同じ国、同じ地面、同じ空なのに風景がこうも違うと

は…。






さっ帰ろと、歩き出した瞬間、後ろから私の名前を呼

ぶ声が聞こえて振り返ると、








タカシ「Aちゃーん！」



「タカシさん？！」





そこには、お父さんの同級生で商店街では二軒お隣の

八百屋である、タカシさんが軽トラックの前で手を振

っていた。







こんにちわ！と、私が側まで駆け寄ると、仕入れ関係

の帰り道だとか。







タカシ「お父さんから聞いたよ〜。どうだった？東京

の大都会は！」




「人が多いのなんのって…。笑

やっぱり私には都会は向いてないみたいです。」





私は、苦笑いして答える。




ほんと、そう。


私には…向いてない…。






タカシ「まぁ〜東京は忙しないって言うしな！地元が

一番！」



お父さんと同じく、ガハハ！と笑うタカシさん。






タカシ「そうだ、もう店に帰るから乗ってくか？」



「えっ？！大丈夫ですよ！」



タカシ「いーって、いーって遠慮すんな！」


「え〜…でも…、」





なんて遠慮していたけれど、タカシさんはヒョイッと

スーツケースを荷台に乗せたのでお言葉に甘えること

にした。






自分の家の車より、ガタガタと振動がダイレクトにく

る車内。




でも全開にした窓からは、春の空気が入ってきて気持

ちが良い。






タカシ「そうだ、聞いたか？再開発の件。」



「再開発…？」






タカシさんも商店街の活性化事業には積極的になって

くれている一人だけれど、聞き慣れない単語に耳を疑

う。





タカシ「なんだ、まだ聞いてないのか。俺も一昨日、

聞いたんだけどよ、商店街をショッピングセンターの

敷地にする話しが持ち上がってるらしいぞ。」




「ショッピングセンター？！」




驚きのあまり運転するタカシさんを勢いよく見るとそ

の横顔は、眉間にしわを寄せて厳しい表情。






タカシ「ったく、金儲けのことしか脳がない奴らに目

ぇつけられて、面倒なことになっちまったよ。」








そんな…。


東京にいる間に、そんなことになってるとは予想もし

ていなかった。





お父さんもお母さんも、そんなこと一言も言ってなか

ったのに…。

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