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食事をしたわけではないから

壱馬くんが戻ってくる前に

洗い物は終わってしまい、手持ち無沙汰に

なった私はソファで眠る北人くんを再度覗き込む。






あんなに寝ないと豪語していたくせに、ちゃっかり気

持ちよさそうに寝ちゃってさ…。





よくも壱馬くんと二人にしてくれたな、という少しの

恨みをもちながら近くに置いてあったブランケットを

かけてあげた瞬間、背後から壱馬くんの声が。





壱「めっちゃ気持ち良さそうに寝てんな。」



「っ!…そっ、そうですね。」





壱「あ…、洗い物サンキュ。」




壱馬くんは、キッチンの方を首を長くして見ながら言

う。





「いえ!お邪魔させてもらった身なので…全然…。」





ついさっきまで三人での会話だったのが、急に彼と二

人だけの会話になり心臓がやけにうるさくなる。






壱「…じゃぁ行くか。」




だけど、その会話も終了を提示されたように彼は片手

で首を触りながら私に促した。





「…はい!帰りましょう。」






それでも、もっと話したかったなんて心のどこかで思

ってしまう私は、本当に情けないくらい諦めが悪い。






もう彼は…壱馬くんは、私との今日を終わらそうとし

ているのに…。







身支度をすませてエレベーターに乗り、エントランス

に来る間は終始無言だった。






その空気は、彼が私に対する気持ちと同じに感じる。




もう関わらない、こんな一般人と…そんな風に。







「今日は…ありがとうございました!お会いできて良

かったです。」




エントランスを出たところで、私は深々と頭を下げ

る。




壱「…。」





だけど、なにも返答が返ってこない。




それを不思議に思い顔を上げると、難しい顔をしてい

る壱馬くんは視線を横に逸らした。





そんなに嫌か…。


すぐにそう思う。





さっきまでは北人くんがいたけれど、今は違うもん

ね…。




早く、彼を解放してあげなくちゃ。





「…これからも陰ながら応援してます!ではっ!」





くるりと彼に背中を向けて歩き出そうしたら、自分の

片腕を筆頭にグラっと視界は傾いた。




「っ!!」




自分の片腕を掴む感触の先を辿れば、壱馬くんが。




壱「タクシー。」



「…えっ…?」






その瞬間、スーッと私たちの真横にタクシーが停まっ

た。

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作品ジャンル:恋愛
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みそじ(プロフ) - 吉 野 み ゆさん» コメントありがとうございます!キューピットからの想いをはせる切ない系でしたね(^^)今、新しいストーリー準備中なので気長にお待ち頂けると幸いです( ; ; ) (2020年4月8日 12時) (レス) id: c7b35b47f5 (このIDを非表示/違反報告)
吉 野 み ゆ - とても面白かったです!北ちゃんが想いを抱えているとは、、北ちゃんキューピットですね笑新しいstoryが恋愛が見たいですれ (2020年4月7日 12時) (レス) id: 9f418f690e (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - ましゅさん» いつもコメントありがとうございます!同じようなストーリーばかりなのに、大好きだなんて恐縮です( ; ; )また更新することがありましたら、暇つぶしにでも覗きに来て下さい( ; ; ) (2020年4月1日 8時) (レス) id: c7b35b47f5 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ - 完結お疲れ様でした!2人今度こそ想いが通じ合って一緒になれて良かったです(;_;)北人くんキューピットだったけどまさかそんな想いを抱えていたとは…みそじさんのお話本当に大好きです。終わり方もみそじさんらしくて好きです(*^^) (2020年3月31日 15時) (レス) id: ad7747e186 (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - ハナさん» コメント&更新遅いにも関わらず最後までお付き合い頂きありがとうございます( ; ; )最後は小さな衝撃を残したかったのでハナさんのようなリアクションをとって頂き大変嬉しく思います!笑 また新作など更新することがありましたら覗きに来て下さい^_^ (2020年3月31日 8時) (レス) id: c7b35b47f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みそじ | 作成日時:2020年2月4日 22時

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