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傘もささずに出てきてしまったことを
後悔したのは家を出てすぐだった。
にわか雨とはいえ、どしゃ降りで全身をいっきに濡
らしていく。
とりあえず一人になりたくて飛び出したけど、行く
あてもなく、屋根のあるところを転々としながら歩
いてみる。
ドラマのようにずぶ濡れのまま歩くのは、ちょっと
自分に酔っている気がして、そこは冷静になれた。
「あ…。」
そんな風にしばらく歩いていたら、前に北ちゃんと
アイスを食べた公園の前に出た。
不思議。
ここに来たくて歩いてたわけじゃないのに。
でもこんな時に公園に来る人なんていないから、
逆にちょうどいいかもしれない。
屋根付きの椅子がある所へ走り、北ちゃんとアイス
を食べたベンチを見ると、そこは雨に打たれて色が
変わっていた。
ザーッ
まるでここには私だけしかいないんじゃないかっ
て、錯覚するほど雨の音しか聞こえない。
「はぁ…。」
ーため息つくと、幸せ逃げるでー
前に壱馬くんに言われた言葉が、頭によぎる。
強ち間違いじゃないのかもしれないね。
ーーーー
それから、どれくらいの時間ここにいたか分からない。
携帯も置いてきて、今日に限って腕時計もしてなく
てつくづく、ついてないな。
そして、本当ににわか雨なの？ってくらい降り止ま
ない。
どっちにしろ傘もないし、やむまでここにいよう。
そう心に決めた時、
北「Aさん！！」
声のする方を振り向けば、傘をさしてるはずなのに
少し濡れている北ちゃんが駆け寄ってきた。
「北ちゃん…。」
北「はぁ…はぁ…良かった…。」
「なんで…、」
北ちゃんは息を整えながら、
北「ちょうど…事務所から一回家に戻ろうとして
て…そしたら樹から連絡きて…。」
走ってきたって笑顔で言う北ちゃんの顔を見たら、
涙腺が崩壊してしまった。
「…っ、ごめんね…グズッ…迷惑かけて…。」
北「大丈夫、謝らないで。俺が勝手に来たんだか
ら。」
そしてフワッと優しく抱きしめてくれた。
壱馬くんとは違う香水の匂いでいっぱいになる。
「ほっ、北ちゃん？！」
北「…好きになってもらえるように頑張るから。だ
から…俺じゃダメ？」
「えっ…、」
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みそじ(プロフ) - りりさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて良かったです！ぜひこれからも遊びに来てください^ ^ (2019年6月8日 11時) (
レス) id: e9f0c68380 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 面白いです！続き楽しみにしてます！☆更新頑張ってください！ (2019年6月8日 6時) (レス) id: 399774dd20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みそじ
| 作成日時：2019年5月27日 10時
