○ ページ22
·
海の底のような色に染った空を、星々と月が我が物顔で占領する頃、とある貴族の館に光が灯っていた。
そこでは煌びやかな衣装をまとった紳士淑女が、酒を片手にある一つの話題に花を咲かせていた。
「おや、もしかして遅れてしまいましたか」
その声に、会場内にいる人々はピタリと会話をやめて入口に視線を向けた。
そこには渋い萌葱色の目をした眉目秀麗な男と、その隣には西洋人形のような美しさをもつ少女がいた。多くの者はその男と少女に釘付けになり、ほぅっと感嘆の息を吐いた。
「いえいえ、遅れてなどいませんよ。皆さんがお二人に早く会いたい一心で、予定時刻より早く着いてしまっただけの事です」
真っ先に二人に歩み話し掛けたのは、弾力性のありそうなお腹を揺らしながら気の良い笑顔を浮かべる、このパーティーの主催者だった。
「それは良かった。しかし、こうも視線が集まるというのは気恥しいものですね」
「ははは、オスマン外交官殿でも気恥ずかしく思うとは。それなら早くパーティーを始めなくては」
「さて、ここにお集まりの皆々様。此度のパーティーへの参加、誠に有難うございます。このパーティーは立食形式となっておりますので、館のシェフが腕によりをかけて作った数々の品を是非ともご堪能ください」
オスマンへと向けていた身体を少し会場側へ向けて定型文を言い終わったあと、止まっていた時間が進むかのように、会場内は人々の声と優美なクラシックで溢れた。
「先程はありがとうございますポール伯爵」
「いえ、私も今回のパーティーの意味を理解していますから」
「して、そちらの御令嬢が──」
給仕から渡されたワイングラスを片手に、オスマンの隣に佇む少女へと視線を向けた。
少女は一歩前に出て、黒と金で彩られたドレスを持ち上げお辞儀する。
「お初にお目に掛かります。ダールベルク家次期当主、エルリカ・
「今宵は素敵な夜に致しましょう、ポール伯爵」
海のような碧色の瞳が、まるで宝石のようにきらりと輝く。
微笑むは女神か、それとも＿＿
「可愛過ぎる!!!もっと控えめにしろ!」
「グルちゃん何言うとんの!?」
「クソぺド野郎がいるかもしれんだろ!?」
「過 保 護!!ちょっと誰かこの人取り押さえて!!」
「一応上司なんで無理ですねぇ」
·
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 164人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とうふ(プロフ) - 白猫さん» ありがとうございます！ノロマな更新ですが、これからも応援よろしくお願いします (2020年4月17日 19時) (
レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - 面白くて一気に読んでしまいました！笑 とても面白く想像しやすかったので、楽しく読めました！ 更新頑張ってください。応援してます！ (2020年4月17日 7時) (レス) id: 324236a98a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
