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Ａトレーに少量のクッキーと、香り立つ珈琲と紅茶を乗せて彼は戻ってきた。彼から紅茶を受け取り礼を言う。カップから香る匂いが鼻腔を擽る。
「美味しい……！」
「口に合うか不安でしたが、よかった」
「この甘みと爽やかな香り……ダージリンでしょうか？」
「そうですよ。その中でも有名な春摘みを淹れたんです」
Ａ一口飲んでみれば、さっぱりとした爽やかさとフルーティーな甘みが口の中で変に主張することなく両立している。少しの渋みが緩和剤となっているのだろう。クッキーとの相性も抜群だった。
Ａ一通り紅茶の味を楽しんだ少女は、そっとカップをソーサーに置いた。
「所でエーミール様、私の所作に不適切な点は御座いましたか？」
「……いいえ、全くもって。気付いてたんですね、私が貴女の所作を審査していた事。隠していたつもりだったんですが」
「途中からですよ。最初は全く気付きませんでした」
Ａエーミールは参ったと言いたげに眉を下げながら、珈琲をソーサーに置いた。彼は密かに少女の貴族としての礼儀作法を見ていたのだ。
「未熟なら指導するべきかと思いましたが……必要ありませんでしたね。不躾に見てしまい申し訳ありません」
「いえ、謝らないで下さいませ。エーミール様はご自分の役目を全うされただけの事。何も謝る必要などありませんわ」
「はは、私が貴女の教師役になったという事も分かっていたんですね」
Ａ彼はそう言い終えるとぐっと背筋を正し、真珠のような乳白色の瞳で少女の緑青色の瞳を見つめた。
「エーミールとしてでは無く、この国の参謀総長として、ダールベルク家次期当主のエルリカさんに訊きます」
「貴女は、この国を支える者としての覚悟がありますか？」
「この国を、国民をその手で守り、時には敵を殺める覚悟はありますか？」
Ａ柔和な表情から一転して、軍人然とした顔付きで彼は問うた。12の子供だと侮ることなどせず、この国を思う一人として。
「頭の片隅にでも、ふと時々思い出すくらいには覚えていて下さい」
「さて、雑談はこれくらいにして、授業を始めましょう」
そう笑う彼に、彼女もまた静かに微笑んだ
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とうふ(プロフ) - 白猫さん» ありがとうございます！ノロマな更新ですが、これからも応援よろしくお願いします (2020年4月17日 19時) (
レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - 面白くて一気に読んでしまいました！笑 とても面白く想像しやすかったので、楽しく読めました！ 更新頑張ってください。応援してます！ (2020年4月17日 7時) (レス) id: 324236a98a (このIDを非表示/違反報告)
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