インターホンがないならノッカーくらい作っとけ ページ11
少し年季が入った、木造一階建ての平屋。一人暮らしにしてはやや広いそこを訪れるのは、銀時にとって二度目だった。
呼び鈴などというものはなく、戸をがんがん鳴らすも返答はない。まだ寝ているのだろうか、と強めに叩いた。
「オイ清水、起きろやコラ。銀さんが来てやったぞー」
「……反応がないですね」
「しゃあねえ、神楽」
「起きろやゴルァアアアアアア!!!」
「ちょっとォオオオオオ!? 何やってんの神楽ちゃんんんんん!!!!」
番傘の銃口から放たれた弾丸があっという間に蜂の巣をつくった。からん、と薬莢が石畳にぶつかる音のみ響く。
悲鳴すら聞こえないということは、もしや留守だろうか。それとも、銃声にすら起きないほどの眠りようなのだろうか。
しばらくして、がらりと玄関の引き戸が開いた。穴の向こうに見えるのは、寝間着であろう着物か。
「はいはぁい……なんですかぁ」
「やっと起きたか。今何時だと思ってやがんだコノヤロー」
「いや、銀さんに言われたくないですよ。今日だって起こさなきゃ昼まで寝てたでしょ」
「銀ちゃんみたいなプータローが朝早く起きることなんてバレー彗星くらいの確率アル」
寝ぼけ眼を擦り、毛先がくるんと跳ねた髪型でさえサマに見える。薄紫色の襦袢は胸元が開き、緩んだ帯は今にも床に落ちそうだ。眼鏡は置いてきたのか、胡乱な藍色の瞳がこちらを向いている。
眩しげに目をきゅっと閉じ、しぱしぱと瞬きを繰り返す。ああ、と呆けた声音は寝起き特有の覚束なさを含んでいた。
「ま……上がんなよ。あ、そこ気をつけて、ビー玉転がっ」
てる、と言い切る前に三和土に散らばる銃弾を踏んで思い切り顔面を打ち付けた。
ガン!! となかなかいい音がした。
「いやアンタが気をつけろよ!! 足元見えてないでしょ!?」
「だ、大丈夫。なんとなく、感覚で分かっ」
「また転んでんでしょうが!! なんでビー玉だと思ったんだよ清水さァん!!」
「さ、さっき誰かビー玉打ってなかった? 機関銃みたいに」
「それ本物ォ!! ガチモンの機関銃ですよ!! ていうかなんで動揺してないの? 当たり前なの? こういうのいつもあんの!?」
「たまに、近所の子どもがイタズラするから……あだっ」
「草履脱いでませんけど!! つま先引っかかってますけど!!」
ツッコミが炸裂する新八に支えられ、寝床にたどり着いた清水はようやく視界を取り戻すことができた。くっきりとした輪郭を認め、おはようと笑った。遅ぇよ。
修理代は5万3000円だったそうです。→←健全な朝に卑猥なワードを連発する奴にはスパーキング
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うす - 更新ありがとうございます…!この作品が大好きです応援してます! (9月19日 22時) (レス) @page50 id: d6b5e366a4 (このIDを非表示/違反報告)
oyz031(プロフ) - とても面白く、興味深いお話で続きが気になります。応援しています (8月30日 0時) (レス) @page49 id: 7ddb3de917 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - いつまでも更新お待ちしております、! (5月21日 18時) (レス) id: c35eeb83bd (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 最近めちゃくちゃ更新されてますね!すごく楽しみにしてるので嬉しいです!無理のない範囲でこれからもお願いします! (2023年4月22日 20時) (レス) id: 19052b8914 (このIDを非表示/違反報告)
モブ - ものすごくこの小説が大好きです!次の話に進むたびドキドキしてしまいます...!!! (2023年3月24日 2時) (レス) id: 24c7afdf4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年3月1日 15時