ジミーちゃんじゃないよ ページ15
「ご馳走様でした」
先に箸をつけていた弟二人は手を合わせ、ゆったりとお茶を飲んだ。まだ膳が残る姉がちまちま食べる一方で、その向かいに座る万事屋店主はちゃっかりお代わりを食べていた。
「二人とも、お風呂入ってきたら? 私も沙苗たちも入ってきたよ」
「あ、うん。山崎さんって人が連れてってくれるって」
「山崎さん……?」
「あ? えーっと…ジミーか」
「ジミー山崎さん?」
「そう、ジミー。存在感うっすいの」
「ユーレイかな」
「いや生きてるでしょうに。なんで地縛霊に遭遇するの?」
そのジミー山崎は彼らと背中合わせになる形で定食をつついており、筒抜けの会話で肩をふるふると震わせていた。同情した隊士からはあんぱんを貰った。要らねえよ。
と、新たに男どもがざわめく。なんだなんだと見てみれば、起きたであろう三女と末妹を連れた次女がいた。その手を引く神楽、先導役の新八は隊士らにとって見慣れたもので、視線を集めるのは大前姉妹だ。
長女と同じく美形の次女は丸い目を瞬かせ、神楽を手を繋いではしゃいでいる。その後ろに続く美菜は眼鏡の奥に潜む目元をくしくしと擦り、その姉の裾を掴む末妹はあどけない可愛さで庇護欲を唆る。
おーおー注目されちゃって、と感心する銀時に新八が気づいた。はっとして、手を振る。
「銀ちゃーん!!」
「声でっけぇよ、起きたのか?」
「お腹空いたからご飯食べるアルよ!!」
「あっ、姉ちゃん!! 何食べてるのー?」
「蒸し鶏定食ー」
「私もそれにする!!」
「ゆっくりおいでー」
「あっ!! 兄ちゃんなんで姉ちゃんの隣にいるの!?」
「ねーちゃん俺もいるんだけど」
「龍ちっさくてわかんないよ」
焦らないでおいでとジェスチャーをすれば、頷いて食堂の列に並んだ。きゃいきゃいとはしゃぐ女子勢と新八はまるで高校生のようで、背丈の低い三女と末妹はさながら小学生のようだった。
「じゃ、俺たち行くよ」
「ん、うん。またね」
「ジミーさんいないな……」
「あの、俺ここにいるんだけど」
「うわっ」
「おぅ、ジミー。久しぶりィ」
「いや旦那、さっき会いましたよね? 領収書受け取ったの俺ですよ?」
「あれ、そうだっけ」
「もうヤダこの人……」
一応年上なんだけどな、と独りごちる。よくよく見ると、先ほど手紙と封筒の解析に向かってくれた人だった。
「さっきの、」
「や、どうも。山崎です」
「先ほどは本当にありがとうございました」
「いやいや、こちらこそ」
482人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りんこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています!もし決まってましたら、大前兄妹の年齢を教えていただけないでしょうか? (2021年2月24日 15時) (レス) id: 5b2ad52f60 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月23日 17時