名前の由来 ページ37
嘘だぁ、と笑い飛ばす万事屋の面々だが、銀時はしれっとして茶を飲んでいた。
新八と神楽が連れ去られたとき、定春が持ってきてくれた封筒にあった名前は間違いなく彼のものだった。
桂もそれを知っていたのだろう。特にからかうこともせず羊羹を催促して銀時に殴られていた。
「名の由来は、あの櫛か」
「さすが、村塾きっての秀才。分かってたの?」
「あれしきのこと、わからんはずも無い」
「櫛? って、なんの事ですか?」
「あー、コイツ昔ボンボンから色んなモン貰ってやがったんだよ。どっかの武家の長男に。長男つか、短男だけど」
「そのうちの一つが櫛だ。桔梗があしらわれた、おなごが使いそうなもののな」
「キレーなやつアルカ?」
「うん。綺麗だよ。今でも使ってる」
「げぇ、まだ持ってんのかよ。何年前だよアレ」
「ずっと前でしょ。僕ら七歳とか、そこらじゃない?」
「で、その桔梗と作家がどう繋がるんですか?」
ふふん、と得意そうな笑みを浮かべて湯呑みを置いた清水。
にっこりと表情をつくる幼馴染に、うぇと銀時は舌を出した。
「桔梗の別名、って知ってる?」
「桔梗に? いえ、知らないです……」
「調べてみるといいよ。多分、そこの天パなら知ってるから」
「よくまぁンな少女漫画みてーなことができんな。お前の脳内どうなってんだ、ピンク脳か? 侵食されてんのか、乙女な方向に」
「昔から脳内真っピンクだった君に言われたくないけどね。河原に落っこちてた春画の名前分かんなくて、村塾中の書籍ひっくり返してたでしょ」
「いやだってよぉ、分かんねぇだろ。なんだよ瓜破るって。どう考えても結びつかねーじゃねぇか」
「ま、そのお陰で今のペンネームがついたんだけど」
「しまったァ、余計なことしなけりゃよかったな……」
「だからお前あの時植物図鑑持っていたのか。俺もあの時『破瓜』という意味を調べたく探したんだが、いくら植物図鑑を探しても見つからなんだ」
「オメーもかよ!!」
「どうして国語辞書の方面にいかないのかが謎だよ、君ら」
ぽんぽんと飛び交う幼馴染同士の会話についていけないが、つまり昔ボンボンとやらから貰って櫛の桔梗がペンネームの由来なのだろう。
嘘だろと銀時や桂がからかわないのがその証拠だ。
しかし、昔と今とやってる事変わらないな、と自分の上司に呆れてしまう新八であった。
「ま、ともかく。奴らの根城は叩いたし、もう何も無いと思うよ」
「ん、おぉ」
「じゃ、後よろしく」
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たまごどーふ(プロフ) - 銀魂の男主小説、最近数少なくなってるので読めるのがとても嬉しいです…更新頑張ってください! (2021年2月19日 23時) (レス) id: 45f2a26062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月28日 21時