そっちでも鷹 ページ35
どうどう、と諌めた新八が新しく茶を淹れ直し、なんてことの無いように桂がそれを頂戴する。
彼がこうしていつの間にか万事屋に出入りしていることは日常茶飯事なので、今更何を思う訳でもないが白昼堂々と上がり込んだのは不満だったらしい。
「しかし、清水がまさか生きているとは思わなんだ。いつから江戸に?」
「もう随分前。五年くらいは経ったかな」
「もしや、貴様も攘夷志士になる気になったか!」
「も、ってなに。誰かいるみたいな言い方してるけど」
「ああ、銀時も候補だ」
「勝手に候補にしてんじゃねーよ! 誰がこんなバカと組むかってぇの。ウチのバカ犬で充分だよ」
「そもそも銀時くん暗躍とかできなさそう。ジャンプと甘いものに釣られて終わるでしょ」
「なに、その信頼性のなさ。俺その辺のガキより警戒心低いと思われてんの?」
昔からじゃんと茶を啜る清水にそうだなと同意する桂。意外にも、銀時が押されている場面を見ることは珍しいので子どもたちは興味津々である。
「戦場での貴様は後方支援とはいえ、凄まじいものだった。確実に仕留める【鷹】の名は、当時誰の耳にも届いたものだ」
「結構ガッカリされること多かったけどね。なんで?」
「そりゃーお前、【鷹】っつったら威厳ありそうな奴とか、ゴッドハンドとか鋭い目付きとかイメージするだろ。誰もおめーみてーな優男だとは思わねぇだろうよ」
「銀さん、一瞬違う鷹挟んでましたよね。それ清水さんじゃなくて違う方の鷹指してますよね」
「そりゃコイツ、当時童貞だったからな」
「明け透けに言うんじゃねーよ!! 銀さんみたいに爛れた恋愛してるわけないじゃないですか!!」
「んだと童貞コラ。こういうな、一見優しそうな奴に限ってとんでもねぇ性癖持ってんだよ」
「そうネ。男はみんな、赤ずきんの皮被った狼アル」
「なんか色々混ざってるけど、失礼すぎるからね。清水さん困ってるよ」
「あ、僕まだ童貞だよ」
「マジモンかよ!! マジで? 銀さんと桂さんと同世代ですよね? 経験偏差値ゼロなんですか!?」
「ブハハハハ!! ほぅら新八ィ、先輩がいたぞ今のうちサイン貰っとけ」
「いるかァ!! 男はなぁ、30歳まで童貞貫いてたら魔法使いに転生できるんだぞ!! お前ら全員童貞にしてやろうか!!」
「お前まだ童貞なのか。どうだ、一発倶楽部で筆お」
「言わせないよ?」
伝説と並んだ男が違う意味で伝説だったが、数分後には忘れてしまいそうだなと神楽は羊羹を食べながら思った。
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たまごどーふ(プロフ) - 銀魂の男主小説、最近数少なくなってるので読めるのがとても嬉しいです…更新頑張ってください! (2021年2月19日 23時) (レス) id: 45f2a26062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月28日 21時