万事屋という男 ページ10
「なるほど、中毒患者か。確かに最近ここいらで似たような話を耳にするな」
「オメーならなんか掴んでんじゃねぇかと思ってよ、ヅラ」
「ヅラじゃない、桂だ」
団子屋の店先で団子を頬張る長髪の男 桂小太郎の訂正がすかさず入る。それを気にせずもちゃもちゃとみたらし団子を味わい、残る一本に手をつけた。
Aが襲われかけた翌々日のことだった。
あの後、何杯か水を飲んで落ち着いたAは礼を言い、事の顛末をお登勢に話したらしい。
仕事を放棄してしまったことを謝罪し、そんなことはいい、大丈夫だったかと心配されたとか。
礼と称して菓子の詰め合わせを持ってきてくれた辺り、律儀だなと思う。
銀時にとって、ああして襲われかけたところを助けることは日常的によくあることだった。
かぶき町に万事屋という看板を提げて住んでいる以上、表も裏も酸いも甘いも知り尽くしている男は町の人間性をよくよく把握している。
欲望溢れる町には、純なものも不純なものも寄せ付けてしまう。
A同様に襲われそうになった女は数多く、中には一人に対して複数人というのもあった。
腕に覚えがある銀時だからこそ、薙ぎ払うことができたのだ。
そうして、一瞬の煌めきを見せた紅い眼に捕らわれてしまう女は少なくない。
Aのように田舎から上京して出稼ぎに来る女はもちろん、元からかぶき町に住まう町娘や色街で百戦錬磨を誇る遊女も同様だった。
皆口を揃えて「礼がしたい」「あの時助けてくれたから」などと口実を並べ立てて袖を引く。
が、Aは少々違うようだった。
菓子折りを持参して感謝を述べた後は普通に会話できている。
否、そうした女は他にもいたものの「私あんなこと気にしてないのよ。他の女とは違うでしょ」と言わんばかりの目線を送ってきた。
しかし、彼女は「まだ駿河には帰らない」と言って真面目に仕事に取り組んでいるようだった。あの日放り出してしまった分を取り戻したいのだとか。
怖かっただろうに、なぜそこまでできるのだろう。
駿河にいた方が安全なのではないか。
そう思い、少し意地悪な聞き方をして否と答えられてしまった。
ああした肝の座り具合は、なかなかお目に書かれるものでは無いと今は思う。
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柏餅(プロフ) - 神すぎますゥゥゥ😭 (4月7日 21時) (レス) @page50 id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
わか - 原作を守りつつ良い感じにキャラと関わる位置にいる感じ!言いたいこと分かりますかね? (2021年7月31日 19時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
わか - こういう設定好きです!!キャラとのほどよい距離感というか、食堂で働いてます!とか、保健室の先生です!とか、 (2021年7月31日 19時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
ユユユ - めちゃくちゃ面白いです!続き楽しみにしてます!無理せず頑張って下さい! (2021年2月7日 12時) (レス) id: 2ebf8b6b93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月29日 17時