若い時は勢いが大事だが歳をとると慎重になることの方が多い ページ32
目の前の淀みが弾けるように、はっとスナックの灯りが目に刺さる。
それは紛れもない女帝の牽制、長くかぶき町を生きる猛者の付けた枷でもあった。
「アンタがどうこうしようとしたところで何ができるってんだ。こんなの日常茶飯事さ、すぐに終わる」
「お登勢さん、」
「そうよ。アナタはまだかぶき町じゃ新顔なんだから。こういうのはお役人に任せておけばいいのよ」
「お妙さん……」
生き急ぎ野郎、と自分を叱咤した。
まだ半人前のくせに、何ができようか。いつの間にか愛着が湧いていたこの町を脅かそうとする輩に、こんなに怒りを抱くとは思わなかった。
ああ、口惜しい。
「さ、そろそろ暖簾出すかね。仕込みはできてんのかい」
「あ、はい。昨日OK貰ったポテトサラダと、もろきゅうを出そうかなと」
「まぁ、ポテトサラダ？ 私もいただいてみたいわ」
「タダにはしないよ」
「もう、お登勢さんってば。ちゃんとお支払いしますよ」
「出してやんな」
「はい」
ぱたぱたと台所に消える背中を見つめ、煙をくゆらせる。
女帝が母になるときは、いつも見せない穏やかな表情になっているのだ。
お妙もそれを知っていた。万事屋も、自分も、かぶき町の面々も。一丁前にカッコつけていても、母の前ではただの子どもに陥落してしまうのだ。
また抱える子どもが増えましたねと揶揄うと、あんなしっかりしたガキ育てた覚えはないと笑われた。
そうして、盆に箸と烏龍茶、小鉢を乗せて戻ってきたAを前に、スナックのママへと顔を戻した。
「お待たせしました」
「すごいわ、これAちゃんが？」
「はい。まだメニューにはないんですけど、お客さんからの反応が良かったら載せようって」
「アンタが第一号だよ。アタシもキャサリンも、試食で食べ飽きてんのさ」
「いや結構食べてませんでした？ お代わりしてましたよね」
ごろっとした半崩れのじゃがいもに人参、きゅうり、小さく刻んだベーコンにマヨネーズが絡む細切りの玉葱。具沢山だが、メインのじゃがいもの存在感が大きい。
早速箸をつけて、一口。少し大きめのじゃがいもは、噛むとほろっと崩れるくらい柔らかい。玉ねぎは辛くなく、しゃきっとした歯応えが抜群だ。少しだけぴりりと辛いのはカラシだろうか。いいアクセントになって、マヨネーズだけの平坦な味ではない。
「あら、美味しいわ!」
「ありがとうございます」
「どうかしら、ウチに来ない？」
「雇用主の前でスカウトすんじゃないよ」
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柏餅(プロフ) - 神すぎますｩｩｩ😭 (4月7日 21時) (
レス) @page50 id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
わか - 原作を守りつつ良い感じにキャラと関わる位置にいる感じ！言いたいこと分かりますかね？ (2021年7月31日 19時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
わか - こういう設定好きです！！キャラとのほどよい距離感というか、食堂で働いてます！とか、保健室の先生です！とか、 (2021年7月31日 19時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
ユユユ - めちゃくちゃ面白いです！続き楽しみにしてます！無理せず頑張って下さい！ (2021年2月7日 12時) (レス) id: 2ebf8b6b93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pillow | 作者ホームページ：
作成日時：2021年1月29日 17時
