昼のカオと夜のカオ 【江口拓也】

雨 ページ47

NO side







バサッと、机の上に投げられたのは大量の写真。

そこには、いろいろな角度から取られた有名な声優の特大スクープ。







_______二人が抱き締めている写真。

_______二人で車に乗っている写真。

_______男性声優が女性声優の手を引いている写真。







どの写真も言い逃れができない、付き合っているとしか見えない写真ばかり。



その写真をいつもの表の人の良さそうな表情からは伺えない、負の表情で見つめる一人の男。


男はスマホをおもむろに取り出し、耳に当てる。









*









｢___お写真、ご覧になっていただけましたか。
まだ、記事にはしていません。
僕が望むことをしてさえいただければ、この写真は破棄しましょう。

…じゃあ、明日の五時に会社でお待ちしてます。
あ、本人と取引したいのでお連れしてもらえますかね。｣









*









失礼します、と電話を切る男。

その目にはどこか狂気さを感じられる。

そして、乾いた笑いが口からこぼれる。









*









｢お人好しのアイツには絶対に俺を選ぶ。
……楽しみだなぁ、アイツが愛する人を捨てるところ。｣









*








*









真っ黒な雲があっという間に一面を多い、ポツポツと雨を降らせる。

振りだした雨はやむことなく、激しさを増すのであった。

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