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｢Aさん｣
｢あれ、目黒くん｣
全員B型で盛り上がったあと、ラインのグループを作ってすぐに別れ、4限の授業の教室で座っていると目黒くんに会った。
奈子はいないし、ぼっちなの見られるのは恥ずかしいな。
｢Aさんもこの授業だったんすね｣
｢去年これ単位落としちゃったんだ｣
｢え、テストそんなムズい？｣
｢あ、いや、出席日数です。笑｣
なるほどなんて言って笑う目黒くんを見て、えげつないくらいのイケメンだな〜としみじみ思う。
去年サボってたら欠席日数間違えてて落としたなんて大馬鹿もいいところだ。奈子にもおバカと言われて叱られた。
｢それで1人なんすね。あ、隣いいですか？｣
｢え？｣
｢あ、友達来ます？｣
｢いや来ない……から、いいけど｣
友達と受けないの？とか、なんでここ？とか、沢山の疑問は浮かぶが、驚いた頭は回転しない。
よく分からない。この授業は1時間半話を聞くだけの退屈な授業だ。こういう授業こそ仲良しの友達と座って小さい声で話したりするんじゃないの？
｢さっきあんまり喋れなかったし。俺とAさんだけが初対面だったじゃないですか｣
｢そうだね、確かに｣
｢だから少し話せたらと思って、だめ？｣
｢ん、いや……いいよ｣
恐ろしい人だ。こんなイケメンに『だめ？』なんて言われたらいいよって言うしかないじゃん。
私の返事に微笑んで当たり前のように隣の席に座る目黒くんは背が高いのもあるが、えげつないほど脚が長い。
神は二物を与えずなんて嘘だな、なんて心の中で毒づいた。
｢……そんなガン見しなくても｣
｢あ、ごめん。イケメンだなと思って｣
｢どストレートっすね。まあよく言われますけど｣
ケラケラと笑う顔もしっかりイケメンで、来世はこんなイケメンに生まれたいなと思ってしまった。
イケメンの自覚があるようでよかった。一個下の学年の情勢は知らないけれど、きっと人気あるんだろうな。
なんでこんなイケメンと一緒に授業を受けるんだろうとしみじみ疑問に思ってしまう。
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作者名：オユ | 作成日時：2021年2月24日 0時
