4B気まぐれ日和 (ページ19)

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｢もしもし～、｣

『ごめん、寝てた？』

寝ぼけながら受けた電話。携帯から聞こえてくる声で頭が冴える。

部屋にはお日様の光が差し込んでいた。

…もう昼かぁ。

｢寝てたけど大丈夫、どうしたの亮平くん｣

『用事が思ったより早く終わって暇になっちゃって。照は昼バイトらしいからAに電話しちゃった』

｢相変わらず可愛いことすんね、君は｣

電話から聞こえる声の主は亮平くんだった。

寂しがり屋の彼女かよ。と心の中でツッコミを入れつつも、電話がかかってこなかったらギリギリで起きて急いで支度をしていた自分が目に浮かぶので助かった。

せっかくの久々のご飯会。楽しみな分、しっかり時間をかけてオシャレをしたい。

『なんかAと電話するの久々だな～』

｢そうね、北斗と付き合ってた頃はしなかったし｣

『…ごめん、そういう意味で言ったんじゃなくて』

申し訳なさそうに謝る亮平くんに私も申し訳なくなる。

同じ高校だった亮平くんは北斗のこともよく知ってる。

｢謝んないで～、てか今何してるの？｣

『ん～とね、カフェでお茶してる』

カフェでお茶て。益々女子じゃん。

部屋の鏡に映る、寝癖ボサボサの自分を見て悲しくなる。

｢今から支度して向かうよ、私の支度は時間かかるけど｣

『ううん、ゆっくりしてて。支度しながらでいいから電話で話そう～』

…私は亮平くんの彼氏なのか？と疑問に思えてくるほどの相変わらずの彼女感に苦笑いしつつ了承した。

電話の音がスピーカーになるようにして机に携帯を置き、大きく伸びをした。

『…A、無理してない？』

｢……んー、分かんない｣

別れてから沢山の人から、大丈夫かと過剰なくらいに心配される。

付き合っていた年月が長かったし、大きな喧嘩もあまり無くて誰もが別れると思ってなかったから。

別れも穏やかで、どこか現実味がなくて、私自身も大きく落ち込むことも無くて。

別に無理に明るくしたり、取り繕ったりはしてないはずだけど、北斗のいた日々が当たり前だったから本当は大丈夫じゃないのかもしれない。無理、してるのかもしれない。

｢自分でも、大丈夫なのか、そうじゃないのか分かってないんだよね｣

『そっか、そうだよね』

｢もしかして、気にして電話で話そうって言ってくれた？｣

『…うん』

そんな亮平くんに、心配性だなぁ、なんて笑ったけど、

正直、何よりも優しいその頷きに少しだけ泣きそうになった。

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