No.77 2人の会話 ページ30
教室に戻って帰りの会。
皆、なんとなくボーっとしていた気がする。
きっと負けたことに実感が湧かないのだろう。
それは私もだから。
相川先生が何か言ってたけど、薄らとしか覚えてない。
あとで今度の授業の持ち物をマリンに聞いたくらい。
本当にずっとぼんやりしていた。
マリンと帰る時も、一言も喋らなかったし。
「あ」
ふと気が付いた。
体操着を学校に忘れていることを。
今日、あれだけ使った体操着を持ち帰らないなんて・・・・・
信じられない!
走ったりして汗かいただろうし、臭いも臭くなっちゃう。
「ごめん、マリン。先帰っててくれない?体操着忘れちゃったから取りに行ってくる。」
「あぁ、わかった。」
私は急いで学校に戻る。
もしかして学校内入れないかも・・・・でも、先生に許可もらえば平気なハズ。
そして学校に到着。
職員室に行って許可をもらう。
「6年1組、立花彩です。体操着を持ち帰るのを忘れてしまったので取りに戻ってきたのですが・・・・」
「あらら、体操着忘れちゃったの。今日たくさん使ったのに持ち帰らないって言うのは嫌よねぇ。」
職員室にいた先生が苦笑しながら言った。
「6年1組は・・・相川先生よね。今、相川先生職員室にいないけど、体操着持ち帰らないっていうのは嫌でしょうから、取りに行っていいわよ。」
「ありがとうございます。失礼しました。」
軽くお辞儀をして教室に向かう。
体操着はいつも廊下のフックに掛けてるから、廊下に行けば大丈夫。
階段を上り、1組の廊下に。
あっ、あった。
あぶない、あぶない。
さて、もう用は済んだし、帰ろうっと。
教室の方をチラッと見ると、そこには相川先生と泣いている若武の姿が。
えっ!?
若武、泣いてる・・・・!?
ビックリして、思わず足を止めた。
もうそろそろ最終下校時刻過ぎちゃうのに、こんな時間まで何の話してるんだろう・・・・・
そっとドアを開け、耳を近づける。
若武は相川先生に何か話していたけれど、泣きながらだったので聞き取りづらくて、わからなかった。
でも、相川先生の言っていたことはわかった。
「若武君、そんなに落ち込むことないのよ。アンカーだから負けた責任は自分になるなんてことないんだから。立花さんのペースに合わせてあげたんでしょ?そんな気遣いが出来るだけで貴方は偉い。それに、最後まで諦めずに追い抜こうとしてたじゃない。誰も若武君が悪いなんて思ってないわよ。」
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愛莉 - 続きがすごく気になります!! (2月2日 15時) (レス) @page32 id: abf6832c1a (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 続きみたいです! (2020年5月14日 14時) (レス) id: 9ecc4550ca (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - はい、頑張ってください!応援してます! (2019年3月29日 18時) (レス) id: 8df2bc3d9f (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 彩さん» ありがとうございます!大好きだなんて言ってくれて嬉しいです。更新頑張ります! (2019年3月29日 18時) (レス) id: 75ace9b1e5 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - このお話大好きです!、これからも頑張ってください! (2019年3月29日 17時) (レス) id: 8df2bc3d9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mirukuzery/
作成日時:2019年3月10日 19時