No.64 現実は違う ページ17
「おい、負けるってどういうことだよ!」
「その通りの意味だよ。ほら、白組見てみろ。」
上杉君の言葉によって、皆が白組に視線を集める。
白組は掛け声などをしていて、バトンパスが上手にできていた。
「ほら、あれを見てまだ思わないか?負けるって。」
たしかに、あれを見てしまうと、今年は確実に負ける。
それは嫌だった。
「さっきの立花と豊原のバトンパス、あれはヤバいだろ。立花の足の速さじゃとても豊原に追いつけてない。補欠だったとしても、本番出場するかもしれないんだ。もし、こんなことがあったらどうする。」
「アーヤは補欠なんだし、出ないことだってあり得るだろ。それに、アーヤと豊原を近くにしなければいいだけの話だ。」
「違う、他の奴も一緒だからそう言ってんだろ。豊原は女子なのに俺達男子と同じくらい速い。もしかしたら俺達は豊原に負けてるかもしれないんだ。」
「はぁ?まさか!」
「まさかじゃねぇ。仕方ねーだろ。とにかく、豊原は速いんだから、俺達ももっと速くならないと駄目だ。本番、豊原に追いつけなくなるぞ。」
上杉君の冷静な言葉に、そこにいた赤組全員が沈黙。
もちろん、間違ったことは言っていなかった。
だからこそ、皆、反論できなかったんだ。
「・・・・とにかく練習あるのみだ!やるぞ!」
若武がその場の空気を換えようと、練習しようと言い出した。
私たちもそれに賛成。
とにかく、練習あるのみだった。
しばらく練習すると、やっと練習時間が終わった。
「はい、それでは整理体操するぞー。終わったら各組挨拶して解散!」
私たちは整理体操をし、挨拶をして、教室に戻った。
ふと、目を窓側にやると、大勢の人が窓にくっついていた。
「あ、彩ちゃんお帰り。さっきから皆、窓から練習見てたんだよ。」
えっ、そうだったの?
菜々がそう説明してくれた。
「やっぱり茜ちゃんは速いよね。今年の代表リレー勝てそうじゃない?」
「うん、それ思った。ていうか赤組、勝つでしょ、絶対!」
「だよね。KZもいるしさ!!」
「これは優勝だね!」
皆はすごく盛り上がっていた。
もちろんだ。
小学校生活最後の運動会だもの。
絶対優勝したいもの。
けど・・・・・
皆は現実を知らなかった。
このままじゃ、白組に負けるってこと・・・・・・
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愛莉 - 続きがすごく気になります!! (2月2日 15時) (レス) @page32 id: abf6832c1a (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 続きみたいです! (2020年5月14日 14時) (レス) id: 9ecc4550ca (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - はい、頑張ってください!応援してます! (2019年3月29日 18時) (レス) id: 8df2bc3d9f (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 彩さん» ありがとうございます!大好きだなんて言ってくれて嬉しいです。更新頑張ります! (2019年3月29日 18時) (レス) id: 75ace9b1e5 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - このお話大好きです!、これからも頑張ってください! (2019年3月29日 17時) (レス) id: 8df2bc3d9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mirukuzery/
作成日時:2019年3月10日 19時