第346話🦇後悔は後回しで ページ11
*ウツ side*
ものすごい勢いで
―――『ミラが相談者の女に変な薬ぶっかけられて、手がつけられなくなった』。
シャオロンの切羽詰まった様子を目の当たりにし、おふざけだとは誰も思えなくて。
「そ、それで……ミラは大丈夫なんかッ!?」
「今、ブルシェンコ先生が相手してくれてる……けど」
ゾムに詰め寄られて答えたシャオロンは、唇を噛み締めて顔を
「ミラは……俺を庇って、薬を被ったんや。俺が、薬かけられそうになって…それで……」
「な、なんでその女は…お前に薬をかけようと……?」
わけがわからず疑問を漏らした僕に答える形で、ショッピくんが口を開く。
「……あくまで仮定、ですけど。その女は、ミラさんに薬をかけたかった。でも……あのミラさんが、そう簡単にくらうとは思えへん。そんな彼女に、薬をくらわせるには……」
「―――親しい悪魔をエサにして、確実にくらわせる」
ショッピくんの言葉に続き冷静に告げたチーノに、僕たちは思わず息を
「僕ならそうしますね。……あの相談者、ミラさんの他にもう1人付いてきてほしいって言ってたじゃないですか。つまり、最初っから誰かをエサにするつもりだったんですよ」
「そういうことかよ……クソッ」
悔しそうに拳を握り締めるシャオロンに、さすがに重い空気が流れてしまう。
そんな空気を打破するかのように、1人の男が口火を切った。
「……お前が責任を感じてしまうんはしゃあないけどな、シャオロン。とりあえず、今は置いとこうや」
「トントン……?」
真剣な声色でそう言ったトントンに、シャオロンは恐る恐る顔を上げる。
「ミラさんにちょっかいかけた犯人、俺らで見つけ出すぞ。そんで、ミラさんをしっかり元に戻して……それから、ケジメつけようぜ」
「ッ……!」
トントンのその言葉に、シャオロンの表情は微かに晴れた。
「……おう、そうやな。お前の言う通りや、トントン」
ようやく調子を取り戻してくれたソイツに、密かに安堵する。
「絶ッッ対犯人見つけ出したるからな!!! 待ってろよミラッ!!!」
気合い充分で意気込むシャオロンに続き、僕たちも揃って声を上げるのだった。
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作者名:空文 晴霧 | 作成日時:2022年9月11日 21時