検索窓
今日:24 hit、昨日:4 hit、合計:37,479 hit

第346話🦇後悔は後回しで ページ11

*ウツ side*

ものすごい勢いで師団(バトラ)室に駆け込んできたシャオロンは、驚く僕たちをよそにとんでもない事実を告げた。


―――『ミラが相談者の女に変な薬ぶっかけられて、手がつけられなくなった』。


シャオロンの切羽詰まった様子を目の当たりにし、おふざけだとは誰も思えなくて。

「そ、それで……ミラは大丈夫なんかッ!?」

「今、ブルシェンコ先生が相手してくれてる……けど」

ゾムに詰め寄られて答えたシャオロンは、唇を噛み締めて顔を(ゆが)ませた。

「ミラは……俺を庇って、薬を被ったんや。俺が、薬かけられそうになって…それで……」

「な、なんでその女は…お前に薬をかけようと……?」

わけがわからず疑問を漏らした僕に答える形で、ショッピくんが口を開く。

「……あくまで仮定、ですけど。その女は、ミラさんに薬をかけたかった。でも……あのミラさんが、そう簡単にくらうとは思えへん。そんな彼女に、薬をくらわせるには……」

「―――親しい悪魔をエサにして、確実にくらわせる」

ショッピくんの言葉に続き冷静に告げたチーノに、僕たちは思わず息を()んだ。

「僕ならそうしますね。……あの相談者、ミラさんの他にもう1人付いてきてほしいって言ってたじゃないですか。つまり、最初っから誰かをエサにするつもりだったんですよ」

「そういうことかよ……クソッ」

悔しそうに拳を握り締めるシャオロンに、さすがに重い空気が流れてしまう。

そんな空気を打破するかのように、1人の男が口火を切った。

「……お前が責任を感じてしまうんはしゃあないけどな、シャオロン。とりあえず、今は置いとこうや」

「トントン……?」

真剣な声色でそう言ったトントンに、シャオロンは恐る恐る顔を上げる。

「ミラさんにちょっかいかけた犯人、俺らで見つけ出すぞ。そんで、ミラさんをしっかり元に戻して……それから、ケジメつけようぜ」

「ッ……!」

トントンのその言葉に、シャオロンの表情は微かに晴れた。

「……おう、そうやな。お前の言う通りや、トントン」

ようやく調子を取り戻してくれたソイツに、密かに安堵する。

「絶ッッ対犯人見つけ出したるからな!!! 待ってろよミラッ!!!」

気合い充分で意気込むシャオロンに続き、僕たちも揃って声を上げるのだった。

第347話🦇協力希望先→←第345話🦇講師の怒り



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (58 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
62人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:空文 晴霧 | 作成日時:2022年9月11日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。