第285話🦇軽薄な彼の軽薄じゃない言葉 ページ46
*ミラ side*
「あ、あのさぁウツくんや…これ、何の罰ゲーム……??」
試着室から渋々出てきたアタシは、目の前に居る男に震え声で訴えた。
「罰ゲームなんてそんな……あ〜、僕の予想通り! やっぱミラちゃん、そういう服バリ似合うわ〜♡」
アタシがウツチョイスで着せられた服は、ピンク色を基調としたフリフリ系のワンピース。
そう……ウツがアタシを連れて入ったのは、いかにもかわいい女子が好きそうな服にまみれた店だったのだ。
「ちょ、おふざけでやってんならホンマに怒るぞ……」
羞恥心に
「待って待って!?;; ホンマにちゃうんやって!! ていうか、この僕が女の子相手にそんな悪趣味なおふざけするわけないやろ!?」
「……………」
……確かに…コイツはとんでもないクズやけど、アタシのこともちゃんと女扱いしてくれる数少ない男やし…一理あるか……。
「いきなり着替えさせてごめんなぁ。……けど、今日のことでもしかしたら落ち込んでるんかなって」
「え……な、何のこと?」
「……食堂で、アクドルの話した時…ミラちゃん結局、自分がどういうアクドルになりたいか話せんかったやん?」
ウツにそう言われ、アタシはすぐさま思い当たった。
あの時、シャオロンたちの意見に上手くノれてたと思ってたのに……。
「前に僕に、女の子らしくありたいって打ち明けてくれたことあったやろ? せやから、もしかしたらホンマはかわいい系が良かったんかなって」
図星を突かれまくり、アタシはただただ黙り込むしかない。
「アイツら、なーんもミラちゃんのことわかってへんわ。だって……―――君はこんなにもかわいいのに!」
ニッと笑ってそう言ってくれたウツの言葉に、不思議といつもの軽薄さは感じられなくて。
「……ホンマに…似合ってる、と思う……? コレ……」
「うん、めっちゃ似合っとるよ。世界一かわいい」
「……ふっw “世界一”はさすがに信用ならへんわ」
ふはっと笑いながらそう言ってやると、ウツは「えぇ!?」とショックを受けたように声を上げた。
わかっとらんなぁ、アホウツは。
つまり……“世界一”の部分以外は信じてあげる、ってことやのに。
ま、そんな丁寧に言ってやるつもり無いけどな。そのほうが面白そうやから!
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作者名:空文 晴霧 | 作成日時:2022年8月22日 9時