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第277話🦇くろむとケロリ ページ38

*ミラ side*

「なんやノリノリやんけ、イルマの奴w」

舞台袖から演出用の(ミラー)を操りながら、アタシはステージ上の3人を見守っていた。

アリスが放つ炎を全てかわしていくイルマ……もといイルミちゃんを見て、笑いが込み上げてくる。

この調子なら、なんとかこの場はもたせられそうやな……と思っていると、近くに居たくろむちゃんのマネージャーさんが声を上げた。

「くろむ!!」

あ、くろむちゃん起きたんや。と、何気(なにげ)なく振り向くと……。

「……え。ケロリ……ちゃん?」

「えッ。ミ、ミ、ミラさんッ……!?」

なんとそこには、問題児(アブノーマル)クラスのクロケル・ケロリちゃんが。

「え……どゆこと?? 今、“くろむ”って……」

「あ…は、はい……。実は、私が“くろむ”なんです……」

……マ???

「説明は後よ! それよりくろむ、ステージを見てみなさい」

マネージャーさんに言われ、くろむちゃん……いや、ケロリちゃんはステージが見える所まで走る。

そこでパフォーマンスをしている3人を見たケロリちゃんは、案の定驚いていた。そりゃそうよな。

「な、ななな何してるんですかあの悪魔(ヒト)たち……」

「イルマの奴がねぇ、どーしてもライブを中止にさせたくないってワガママ言うてさ。自分らが前座を務めるって言うて、結果アレよw」

「え……」

アタシの言葉を聞き、ケロリちゃんは再びステージ上へと目を向ける。

「まったく…面白い子ね、イルマ……」

ポツリと呟いた彼女は、一瞬で“くろむ”へと姿を変えた。

「ミラさん、ありがとう」

「アタシは大したことしてへんよ。横から見てただけ」

「謙遜しなくてもいいのに。アナタの家系能力を使った演出……とっても綺麗よ!!」

笑ってそう言ってくれたくろむちゃんに、アタシもふっと笑い返す。

「この後も、最高の演出よろしくね!」

「オッケー、任せとき!」

アタシに向かってひらりと手を振り、くろむちゃんはステージへと駆け出した。

その背中を見送り、アタシは演出用の(ミラー)の数を増やすのだった。

第278話🦇大団円の舞台裏→←第276話🦇最高のステージに



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作者名:空文 晴霧 | 作成日時:2022年8月22日 9時

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