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第614話🦇代え難い存在 ページ42

*ミラ side*

―――アタシは、チーノ先輩のことを何も知らなかった。

入学当初はショッピ先輩との仲が最悪だったことも、ショッピ先輩の煽りにノッて上級生を騙くらかして金を巻き上げようとしていた時にグルッペン先輩と出会ったことも……低位階(ランク)で魔界で生きていくことに、ひどく悩んでいたことも。

低位階(ローランク)の悪魔は生きづらい……なんや、どこぞのイカレたクソメガネ野郎思い出してしまったわ。

けど……今でもアタシは、キリヲ先輩(アイツ)の考え方を許容する気はあらへん。

確かに、位階(ランク)が存在しているせいで苦労する悪魔もいる。チーノ先輩だって、その1人や。

だからこそアタシは、そういう悪魔(ヒト)らのために強くなりたいんよ。これが……アタシの、もう1つの“野望”やからな。

それでも……大切な先輩がどんなに苦しんできたか、それを聞かされるのは少し(つら)いものがあって。

〖双子の鏡〗から聞こえてくる2人の会話にぼんやりと耳を傾けつつ、ひたすら考える。

本人も言うてる通り……チーノ先輩は、グルッペン先輩に()かれて我々師団(バトラ)に入団をした。その時点で、彼の中でこの師団(バトラ)の価値がある程度下がってしまっているのでは?

そしてあのニコニコ女は、チーノ先輩を引き抜きに来たらしい。

……やはり、チーノ先輩はグルッペン先輩が退団してからずっと迷っていたのだろう。

『自分の弱さにコンプレックスのあるキミにとって、強い悪魔から存在を肯定されることは何よりも心の支えになっていたのにね』

ニコニコ女がチーノ先輩に言い放ったその言葉は、なぜかアタシの胸にも突き刺さって。

ニコニコ女の誘いに“答え”を出す彼の声を聞きながら、アタシは何とも言えない表情で手の中にある小さな(ミラー)を握り締めた。



……ねぇ、先輩。

アタシじゃ……アナタにとってのグルッペン先輩の代わりには、なれへんのですね。

第615話🦇強引な誘い→←第613話🦇vs詐欺師の“仮面”



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空文 晴霧(プロフ) - AYMさん» そうなんですよ、まだ彼の“本当に選んだ道”を知らないんですよね彼女は…! ぜひ楽しみにしててください(*´∀`*) (2022年12月29日 2時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - 白黒ぐも。さん» 最高の褒め言葉ですありがとうございます…!! うちの子を好きになってもらえて何よりです(*´ー`*) マイペースな更新にはなりますが、応援よろしくお願いします! (2022年12月29日 2時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
AYM - グッ、、やべえ、この後が楽しみすぎるッ!!きっとだけど、ミラさんはciの本当を知らないと思うけど、あれを知ったらどうなるんだろうか、、、めっちゃ、ゾクゾクしてきた!!!ほんと大好きです!更新無理せず頑張ってください!! (2022年12月28日 21時) (レス) @page47 id: 48240d13f1 (このIDを非表示/違反報告)
白黒ぐも。(プロフ) - 気持ち悪いくらい読みやすくて素敵な小説……!!そしてミラちゃんが魅力的……!!応援させていただきますッッ(吐血) (2022年12月22日 15時) (レス) @page35 id: 2ce3047e1b (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - 瀬羅さん» 今後もうちの子は、どんどんいろんなキャラを堕としていくことでしょう…楽しみにしてください( *¯ ꒳¯*) (2022年12月20日 0時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空文 晴霧 | 作成日時:2022年12月3日 19時

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