第448話🦇“なおす”者 ページ19
*ブルシェンコ side*
魔狼に殴られたという腹を家系能力で治していると、シュピーゲルがゆっくりと目を覚ました。
「んぇ……? ここって……」
「気が付いたか」
声をかけると、シュピーゲルはぼんやりとした目でこちらを見やった。
「せん、せ……?」
「トイフェルたちから話は聞いた。デビルポークの里で、魔狼を撃退したそうだな」
「あー……そういやしましたね、そんなこと」
徐々に意識がハッキリしてきたのか、シュピーゲルはいつもの調子に戻ってきた。
「ていうか先生〜、女子生徒の服
「どうやら、終末日の課題を倍にしてほしいらしいな」
「うわー、陰湿〜。そういうのはカルエゴ先生の役目ですやん?」
「お前はあの
このままでは彼女のペースに巻き込まれると察し、私は言うべきことをさっさと言っておくことにした。
「……お前は、好戦的な気性の割には他者を“守る”ことに重点を置いているような振る舞いが目立つ。処刑玉砲の時しかりな」
「何ですいきなり?」
「いいから聞きなさい。大事なことだ」
私が真剣に語りかけていることを理解したのか、シュピーゲルは茶化すこと無く耳を傾け始めた。
「今回も、仲間を守るために戦った結果、このような怪我を負ったわけだが……私は案じている。その自己犠牲心が、いずれお前自身を滅ぼしてしまうのではないかと」
私の言葉をどう受け取ったのか、シュピーゲルはしばし考えて口を開いた。
「自己犠牲心とか……そんな綺麗なもんやないですよ。アタシはただ、“アタシのモノ”に手を出されるのが嫌なだけです」
「理由がどうあれ、行動と結果は変わらんだろう。必要以上の痛みを負うようなことは、できる限り避けなさい」
治癒が終わったので、私はシュピーゲルの体にかざしていた手を離す。
「……先生がアタシのこと心配してくれてるのは、ちゃんとわかってますよ」
ベッドからヒョイッと立ち上がって保健室から出ていく間際、彼女はくるりと振り向いて悪戯っぽく笑った。
「けど―――もしアタシが身を滅ぼすような真似しても、先生が“なおして”くれるんでしょ?」
まるで決定事項かのようにそう言いきった彼女は、「ありがとうございました〜」と軽い感じで去っていった。
「やれやれ……本当に、手のかかる問題児だな」
溜め息混じりのその言葉は、きっと彼女には聞こえていないだろう。
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空文 晴霧(プロフ) - 天村 樹さん» んー、光線ではなく物理で攻撃してますね。すっごい雑に説明すると、鏡そのものを物が切れる程度に強化して操ってるって感じです。…伝わりますかねこれ(説明下手) (7月25日 21時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
天村 樹(プロフ) - すみません。 鏡の刃って光線のようなものですか、 それともガラスが変形しているのでしょうか 説明を読み忘れていたらすいません。 (7月25日 20時) (レス) @page41 id: 820ea18d0a (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - るい酸性さん» いつもありがとうございます!! 悪周期、いずれ書けたらとは思ってるんですが…ちょっと他の悪魔とは違う感じにできればなぁと考えております。機会があればお披露目したいですね(*´∀`*) (2022年10月14日 6時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
るい酸性(プロフ) - ミラさんの悪周期が気になってしまったこの頃です。。いつも読んでます!! (2022年10月14日 3時) (レス) @page17 id: 825df6404c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空文 晴霧 | 作成日時:2022年10月5日 21時