６ ページ24
「大丈夫か？また水飲むか？」
「ううん、もう良い、ありがと･･･はああっ･･･。」
そう言ってソファの背にぐったりと凭れ天を仰いだ紫耀は目を閉じて、眉間に皺を寄せる顔は物凄く格好良くて。
そして、思い出してしまった。
『俺、廉なら抱ける！』
あれは･･･ほんまなんやろうか。
「あのさ･･･さっきの話･･･あれ、マジなん？」
「んん？さっきの話？」
「その･･･さっき言うてた･･･俺の事･･･抱けるって･･･。」
紫耀は何の事か分からんみたいで、酔ってるから覚えてんかもしれんけど訊いてしまった。
「ああ、あれ？うん。抱ける抱ける。廉だったら全然余裕。」
まだしんどいんやろう、俺の方も見んと目を瞑ったままそう言って。
ええんかな？こんな事言うても･･･でも･･･。
「だったらさ･･･試してみん？」
「試す？」
俺の言う事が紫耀には分からんみたいで、やっぱり、ハッキリ言わな分からんよな。
「だから･･･俺の事･･･抱いてみん？って。」
ああ、どうしよ、言うてもうた。
「･･･え？･･･マジ？」
今迄目を瞑っていた紫耀がバッと起き上がり俺の方を見て、その目は大きく見開かれて驚きが表れていた。
ヤバッ、引かれた？やっぱりこんなん言わん方が良かった？
「あ･･･嘘嘘、冗談･･･本気にすんなよ。」
冗談だったと言う風に慌てて否定する俺の腕が、グッと紫耀に掴まれた。
「俺抱くよ、廉の事。」
「え？」
真っ直ぐな瞳で見つめられる。
「俺、本気で廉の事抱くから。」
「え？あ？ちょっと？」
ギュッと抱き締められて、俺は訳が分からんようになってパニックやった。
「俺、マジで廉の事抱きたかったんだ。」
ほんまに紫耀は俺の事を抱けるん？
あれは酒に酔った戯れ言やなかったん？ただの冗談や無かったん？
「でも、良いの？廉は･･･。」
ちょっと身体を離されればじっと見つめられて確認される。
「あ･･･えっと･･･俺･･･ちょっと試したくて･･･。」
「試す？」
きゅっと眉間に皺を寄せる紫耀に、こんな事言うてもええんやろうか･･･こんな、興味本位みたいな理由を･･･。
「あの、俺･･･その、ほんまは･･･男が･･･男が好きやねん･･･でも、男とそういう経験無くて･･･せやから、どんなんか試したくて･･･。」
俺が男が好きやって事、言うてもうた。
もしかしたら、これで紫耀に引かれるかもしれん。
気持ち悪いって、突き放されるかもしれん。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 360人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
弥勒(プロフ) - ちゃ・むさん» 弥勒の作品を読んで頂き有難う御座います。『Shape of love』は今迄と違う設定で受け入れられるか不安でしたが、気に入って頂けたようでホッとしました。続編も考えていたので書いてみようかと･･･。ただリクエストが溜まっているので気長にお待ち頂ければ幸いです。 (2022年7月28日 0時) (
レス) id: 12c1df49ab (このIDを非表示/違反報告)
ちゃ・む(プロフ) - 初めまして！いつも楽しく短編集全て拝見させて頂いています。Shape of loveの設定・お話が好きなので2人のその後が読みたいです…！お忙しいとは思いますがタイミングがあれば是非検討していただけると嬉しいです！今後も応援しております！ (2022年7月21日 23時) (レス) @page19 id: 951fa2cf1b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：弥勒
| 作成日時：2022年7月3日 0時
