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結構長引いてしまうから、ほんと、渋々ね。
ほんと渋々に、どっちかが寂しくて我慢出来なくなって、それでやっと謝るって言うくらい。
本当は俺の方が年上なんだから、年上の余裕なんかで、先に折れてやるのが良いんだろうけど･･･。
俺の場合、逆に年上って言うのがネックになっていて。
年下の奴に謝るなんて、って変な意地を張ってしまうんだ。
あいつもあいつで。
自分の方が年下なんだから、年上の俺に気を遣って、先に謝るべきなのにさ。
俺の事を下に見てるんだろう、絶対に自分から折れようとしないんだ。
そりゃあ、お互いに本当に自分が悪いって分かってる時は、ちゃんと先に素直に謝るよ？
でも、今回は俺が悪いんじゃないもん。
神宮寺が悪いんだもん。
だって･･･。
「玄樹、ちょっと良い？」
「･･･急いでるから。」
仕事が終わって、メンバー全員解散になって。
さっさと家に帰りたかったのに、楽屋を出た所で捉まってしまった。
呼び止められたけど、俺は止まらずに歩き続けた。
「待ってってば、玄樹？ちゃんと話そう？」
「話す事なんて無い。」
早足で歩く俺の横に並んで、ぴったりと付いてくる。
「玄樹っ。」
そして、エレベーターの前で掴まってしまった。
「好い加減にしろよ。」
「っ。」
エレベーター横の壁に手を付いて俺を見る神宮寺。
静かだけど、その声は低くて、物凄く怒ってるって分かるから。
そんな神宮寺に壁ドンされた俺は、何も言えずに俯くだけ。
「このままだと、
「･･･。」
何も言わずに黙っているのを了承と取ったのか、俺の右手をぎゅっと握って。
まるで、逃げないように俺を掴まえているみたい。
ポーン。
エレベーターが着いて、神宮寺に引っ張られるようにして、そのまま中に二人で乗り込んだ。
エレベーターの中には、俺達以外は誰も居なくて。
狭い空間にたった二人、重苦しい空気が漂っている。
握られた手は少し力が込められたままで。
こんな風に、神宮寺に手を握られるのは久し振りだった。
一階に着いてエレベーターを降り、テレビ局のエントランスを抜けて、タクシーに乗り込んだ。
神宮寺が運転手さんに自分の家の住所を告げて。
ああ･･･もう、今日は逃げられないんだな。
そう思って、俺は覚悟を決めた。
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作者名：弥勒
| 作成日時：2021年2月13日 0時
