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「いや、それは無しだな。」
「あ、そうなんだ･･･。」
よくよく考えてそう答えてやれば、俺の言葉に紫耀はちょっとほっとしたような顔をする。
何なんだ？
紫耀は一体どうしたって言うんだ？
何だってそんな事を俺に訊いたりするんだろう。
「それってどういう意味？俺と廉に何かあんの？」
「あ、ううん、別に何でも無いんだ。ちょっと気になっただけで･･･。」
首をぶんぶんと振って俺の言葉を否定する。
何でも無いならなんでそんな事を訊いて来るんだ？
「ほんと、ごめん。俺の言った事は気にしないで？」
「お、おお･･･。」
そんな風に紫耀に強制終了させられた。
気にすんなって言われると余計に気になるだろうが。
大体俺が廉の事を好きって･･･。
それは可笑しい事なんだろうか？
俺と廉って傍からそういう風に見られてるって事？
いつだって俺にベタベタとくっ付いてくる廉。
手を恋人繋ぎで握ってきたり。
ぎゅっと抱き付いてハグしたり。
俺の膝の上に乗ってきたり。
まあ、普通ならいい年した男が同じ男にするような事じゃあないよな。
でもそれは俺にだけじゃないし。
偶々俺がメンバーでいつも廉の近くに居るからであって。
俺だって最初の頃はやたらにくっ付いてくる廉に「ウザい」って思ってたよ。
実際に言葉にした事もあるし。
でもあいつ全然懲りねえんだよな。
言った傍からくっ付いてくんだもん。
「ええやん、ええやん」って言いながら。
そんな事を繰り返して。
とうとう面倒臭くなって、俺は廉の好きなようにさせてやる事にしたんだ。
でもその内それも気にならなくなって、それが当たり前になって。
今じゃもう廉のそれが無いと、ちょっと物足りないような気がするまでに。
まあ、偶にその距離感に今でも戸惑う事はあるけれど。
ほんとどうにかなんないかな･･･廉の0距離。
ふと気付くと目の前にあの綺麗な顔があって。
あと数センチで唇が触れてしまいそうだなんて。
そして俺の心臓が不規則な音を刻むから･･･。
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作者名：弥勒
| 作成日時：2021年2月13日 0時
