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お茶子ちゃんは分かりやすく顔を真っ赤にするからいじりがいがある。
緑谷くんだってお茶子ちゃんのこと好きみたいだし、ぜひA組初のカップルになってほしい。
たぶんめちゃくちゃからかわれるんだろうなぁ。もし彼氏ができても絶対隠し通したい。
『告白するときは教えてね』
「だったらAちゃんだって誰かと付き合ったら絶対言うんよ!?」
『うん。わたしにも好きな人できたら色々話そ』
「なんでそんなに余裕なん!?」
今にも掴みかからんとする勢いで迫るお茶子ちゃんと、隣でヘラヘラと笑うわたし。
なんでってそんなの、当事者じゃないからだよ。
『あれ、もうここまで来たの?』
「え、嘘やん!Aちゃんと轟くんのデートの話もっと聞きたかったのに」
気づけば次はわたしの最寄駅。
荷物を持ち直してちらりとスマホの通知を確認したら、丁度話題になっていた轟くんから連絡がきていた。
見ないふりをして画面を消す。
『充分話したしデートじゃないでしょ!……面倒だから、他の子に言わないでね』
梅雨ちゃんの真似をして口元に手を当ててみる。
Aちゃんはかわええな〜!と声をあげたお茶子ちゃんが今度こそわたしに飛びついた。
「Aちゃん赤くなっとるやん!」
『え、え、見ないでっ』
「普段全然照れないから新鮮やね!」
『これもみんなに言っちゃダメだからね!?』
顔を隠そうとお茶子ちゃんをぎゅっと抱きしめる。
声からして頬が緩んでいるだろうお茶子ちゃんはわたしの背をぽんぽんとたたいた。
人の少ない電車で本当に良かった。
それから少しして、電車のドアが開く音が聞こえた。
慌ててお茶子ちゃんから離れて、鞄を掴んで立ち上がる。
「Aちゃん」
丁度ホームに降り立ったとき、お茶子ちゃんに名前を呼ばれた。
振り返ると同時に発車ベルが鳴る。
「これって、梅雨ちゃんにもナイショ?」
これ。
おそらく、轟くんとふたりで出かけたこと。
梅雨ちゃんほどじゃないけれど、それでも充分に大きな目がじっとわたしを見つめていた。
『……ナイショ』
もういっかい人差し指を口元に当てて微笑んだ。
幸か不幸か、言い切る前にドアが閉まる。
お茶子ちゃんの目が更に大きくなって、嬉しそうに笑った気がした。
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有紀(プロフ) - 華蓮さん» ありがとうございます!ぜひお気軽にフォロリクしてあげてくださいませ◎ (2020年2月21日 20時) (レス) id: a38a24a1c3 (このIDを非表示/違反報告)
華蓮(プロフ) - めっちゃ好きです!ちょー面白いです!ツイッター、ぜひ私も繋がらせてください! (2020年2月17日 23時) (レス) id: 8e99dba7a3 (このIDを非表示/違反報告)
有紀(プロフ) - プルスウルトラさん» ありがとうございます!オチが見えてないので当分は書き続けそうです笑 (2020年2月17日 20時) (レス) id: a38a24a1c3 (このIDを非表示/違反報告)
プルスウルトラ - 凄い好きです、尊すぎて死にそうなくらいです、ずっと書いてて欲しいくらいです!ホント大好きです!頑張って下さい! (2020年2月13日 22時) (レス) id: 387ceeb55f (このIDを非表示/違反報告)
有紀(プロフ) - まじま。さん» だれも構ってくれなくても作ろうと思っていたので暖かいお言葉がいただけて光栄です!最新ページをこそっと書き換えたので気が向いたらフォローしてやってください! (2020年2月6日 0時) (レス) id: a38a24a1c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有紀 | 作成日時:2020年1月23日 15時