バビルス六不思議がひとつ消滅した理由 Second【魔入間】

前菜を食べる教師たち ページ16

「……ところでエイト、そのマイクは？」

「あぁ、なんか調子が悪いらしくて、もらった」



ーー観客席の一番後ろにて、２人のデュエットに聞き惚れる悪魔が、4人。

「ふぃ……それにしても、流石はモネ先生とカルエゴ先生。」

「……なんかツムル先生、残念そう？」

「…………あんなにキレられたあとで、何も言えないですよ」


目を細めるツムルと、困ったように笑うダリ。

両者未だに、モネとは一言も会話できていなかった。


「ふぃ、『ダイアナ』でしたっけ？」

「はい。何を歌わせてもピカイチで、ファンサは凄く的確で、ドラマとかでも活躍して、」

「…………言われてみればモネ先生、生徒にすら、授業でも歌声を聴かせていなかったみたいだよね」


そろそろ過去と向き合ってもらえたらな、と思ったんですけどね、と記憶を辿る。

昔に比べて、随分と雰囲気が柔らかくなったものだ。

相変わらず無表情だが。


「………………それなら多分、モネ先生に伝わっていると思いますよ、ふぃ！」

「………………そうですかね、」

「大丈夫だろ。モネ先生、カルエゴ先生に啖呵切ってたし」

「カルエゴ先生にっ？！」

「……へぇ、何て？」











ーー何故、こだわる？



ーーアクドルは、私が生きる為、未来の私が幸せである為に、続けてきたことです。

紆余曲折を経たものの、ようやっと、充実した生活を手に入れました。

しかしながら、むしろ今、そのアクドルだったことのせいで、幸せになれないのなら、それは本末転倒です。


私は、私の欲に忠実になります。


何か、文句でもありますか。










「…………随分と明るくなったんだね」

「ふぃ。このヴァイオリンも、凄く柔らかくて、落ち着く音ですよね」

「曲へのしっかりとした解釈があってこそ、、」

「……音楽教師が彼女で、本当に良かった」










「あでも、モネ先生への謝罪はしっかりした方が良いですよ」

「「…………えっっ」」

「ふぃ！ 彼女、随分と根に持ちますからね。悪いことをした自覚があるなら、しっかり謝る。基本ですよ」

「「…………はい」」

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