-91- ページ8
「で、要求はそれだけっスか？」
僕が清華さんにそう質問すると、彼女は目を瞑り、紅茶を啜った。
つられて僕もティーカップを手に取る。
「そんな訳あると思う？そんな簡単で単純な条件だけで娘をお嫁になんて出せないわ」
「げほっ！、ちょ、な、何言って…」
僕が噎せながら清華さんを見ると、口に手を添え、楽しそうに笑っていた。
「ご免なさいご免なさい、少しからかってみただけよ。でも、まさか脈あ」
「もう本当に止めてもらえないスかね…」
清華さんにしろ、憲剛にしろ、僕はそんなに分かりやすいのか。いや、そんな事は無い筈で
「分かりやすいわよ」
「え？」
「自分ってそんな分かりやすいかなぁって、そんな顔してたもの」
ピシャリと言い放たれ、正直言って刺さった。
もしも、心が目に見えて矢を刺しても死なないなら、その矢は僕の心を四方八方から突き刺してくる。殺す気か。
「…お願いなんで、Aには言わないで貰っても…」
「分かったわ」
その返事にホッとしたのも束の間、また、清華さんの凛とした声が聞こえてくる。
「話が逸れたわね。それでお願いの二つ目だけど」
「…」
先程清華さんも言ったようにこの要求は“簡単”でも、“単純”でも無い。
しかし、そんな僕の考えとは裏腹に、
清華さんは、優しく笑う。
「Aを、幸せにしてあげて」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
フウ - とっても面白いです。続き待ってます。がんばってください。 (2020年9月21日 21時) (
レス) id: 2c5b698759 (このIDを非表示/違反報告)
水麟(プロフ) - プリンさん» ありがとうございます！返信遅くなっちゃってほんとにごめんなさいっ汗…頑張ります！ (2019年12月7日 22時) (レス) id: 0dc0777a12 (このIDを非表示/違反報告)
プリン - とっても面白いです！続き待ってます！私の中で、お気に入りの夢小説です！これからも更新頑張ってください！ (2019年9月5日 15時) (レス) id: 1dc5fb63e0 (このIDを非表示/違反報告)
水麟 - miさん» すっごく嬉しいです！私なんてまだまだですっ、これからもそう言って頂けるように頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年7月28日 23時) (レス) id: 65c8c71a9b (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - すごく面白くて見ては見直してを繰り返してます！ 自分も小説を書いてる身なんですけど水麟さんみたいに書けないのでとても尊敬します！！これからの更新楽しみにしてます！頑張ってください！！！ (2019年7月27日 21時) (レス) id: fb6e5b6ebe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水麟 | 作成日時：2019年4月21日 17時
