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楽しかった聖ちゃんとの時間も終わって、またいつものように仕事に追われる毎日が始まった。
｢Aさん、これコピーしておいて｣
｢分かりました！｣
未だに任せられるのは雑用ばかりで、なんでこんな事してるんだろう？って毎日思う。
好きな事を仕事にしている人なんてほんのひと握り。
そう考えたら、好きでも嫌いでもないこの仕事を淡々とこなすしかない。
仕事もひと段落ついたところで給湯室でコーヒーを飲むことにした。
ぼーっとしていると、ふと聖ちゃんとの会話を思い出す。
ブライダル関係の仕事につくという将来の夢。
覚えていなかったというよりも思い出したくなかったのかもしれないな。
北人くんが夢を叶えようと頑張っている姿を励みに、私だって本当はその夢を追いかけたかった。
でも...
現実は理想ほど上手くいかなくて、親の期待もあり東京の大学に進学してからは一人暮らしをすることで精一杯だった。
より収入が多い仕事を探すうちに夢からは遠ざかっていって、正直なんのために働いているのか分からなくなってる。
空を見上げたって、慌ただしい街中じゃネオンの光に邪魔されて星を見ることもできない。
都会暮らしに空っぽの胸が澱んでいく気がした。
今日も仕事が終わったのは20時過ぎ。
家に帰る頃には21時をまわっていた。
こうやってまた1日が終わっていく。
私がこんな事してる間に、北人くんはどんな風にすごしているんだろう。
そう思ったら、無性に北人くんに会いたくなった。
また隣で北人くんの声に耳をすませて、満天の星空に包まれたい。
そんな事を考えながら眠りについたら、高校時代の夢を見た。
バスケットボールの跳ねる音が体育館中に響き渡っていて、ひたすらドリブルする北人くんを眺めている私。
｢A！
ちゃんと見てて！｣
｢言われなくてもちゃんと見てるよ笑｣
｢これ、絶対決める。
決めたらAに言いたいことがあるんだ。｣
｢えっ！何？気になるんだけど｣
｢まあ、見てて！｣
｢うん！｣
くいっと口角を上げた北人くんは慎重に狙いを定めてボールを投げた。
北人くんの投げたボールがきれいな弧を描いて吸い込まれるようにゴールに入っていく。
｢よっしゃ！！！｣
｢すごい！！！！｣
｢...ねえ、A｣
｢ん？｣
｢俺、ずっとそばにいるから。｣
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作者名：mm | 作成日時：2020年3月11日 13時
