夕日に照らされ ページ40
その後も私は彼と城下で、様々な出店を廻っていった。
楽しそうに本のお話をする人。オススメの本を他の知らない人へ薦めている人。本で人と人は繋がっていくんだなと改めて実感できた。
夕日が昇った頃、盛況していた【ばざあ】も無事終わった。
出店を出していた国民の方たちは一斉に、片付けを始めた。
そんな様子を私と彼は、彼が開会の儀を行った場所から眺めていた。
「終わり…ましたね」
「えぇ、何事もなくて良かったです。これもAさんのおかげです」
「いえ、そんな。私は何もしてませんよ」
「そんな謙遜なさらずに。このイベントはあなた無しでは成功できませんでした」
「…ありがとうございます」
彼に褒められると心がきゅっとくすぐったい感覚がする。心地よい、この感覚。
「…Aさん」
「はい」
彼に名前を呼ばれ、私は彼の方を向くと、夕日に照らされた彼の瞳が、私の瞳と重なった。
「エーミール…さん?」
彼は私の前で片膝をつき、私の左手へと手を伸ばし、優しく掴む。
そしてその手を添えたまま、私の前へ持ってきた。
「…まだお会いして少ししか経っていませんが、あなたと出会えて本当に変わりました。
毎日が楽しくて、充実してて、これからもずっと一緒にいたいと思えた。
こんな気持ち、初めてだったんです。最初はこれがなんだか分からなかった。でも…やっと分かったんです」
彼は手で添えていた私の左手の薬指に、右手できらりと光るものをはめた。
「これ…は…」
きらりと夕日に光るダイヤモンドの指輪。その輝きは今までにも見たことの無い、屈託のないものだった。
「あなたに…一目惚れだったのです。
私と、結婚していただけませんか?」
いつもの彼の優しい瞳とは違う、真っ直ぐな瞳が私を捉える。
私も…いつの間にか惹かれていたんだ。
彼の…全てに。
「はい、喜んで」
彼は、私の言葉にフワッと微笑み、私の手の甲にゆっくりと口付けをした。
──────…絶対幸せにします。
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莉萠 - はぇー尊いですわぁ…(遺言) (2020年3月13日 21時) (レス) id: 25d831dc40 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのなか(プロフ) - 尊すぎてもう…語彙力が…消えた (2020年3月11日 14時) (レス) id: f290e267c1 (このIDを非表示/違反報告)
颯真(プロフ) - 尊い、、、尊すぎる、、、 (2020年2月23日 5時) (レス) id: 94ac8c4fca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美蘭 | 作成日時:2020年2月20日 15時