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「 “帰ってきたら俺と生きてくれ”って…。最初のこの戦から帰ってきたら渡すものがあるって…。なのに結果はこの通り、彼が今渡してくるものもなく生きることも出来ない… 」
とてつもなく悲しい言葉。幸せな事を言われてるのに彼女はとても悲しそうにしている。
それは大切な人が死んだからだろう。結論が出るのは早かった。
「 ( ここじゃ駄目や。治すのも大切なことだけど、私はここに居ちゃ駄目や ) 」
能がある者はあるべき所へ。
私は、戦う方が性に合ってる。
❋❋❋
目まぐるしい日々が過ぎた。銀時らが帰ってきてAは三人に飛びついた。それについて銀時には怒られ桂は何も言わなくなり高杉はちゃっかり背中に手を回していた。
けれどこの手を払うことは決してなかった。
彼らは帰ってきた。生きている。しかしもうすぐまた出ないといけない。その前に話さなければいけないことがある。
…夜。
Aは桂の部屋の前に立っていた。辺りは静かだがそうではない。よくよく聞いてみると色んな音が聞こえる。
誰かのいびき、虫が鳴く声、物音。もう今となっては慣れてしまっている。
そして目の前の襖の奥からも音は聞こえる。筆を走らせる音だ。つまり向こうにいる彼は起きている。
Aは呼びかけた。
「 ……ヅラ?今大丈夫か? 」
「 っA……? 」
「 ん?やっぱダメやった?起きとるのはわかっとったから声掛けたけど… 」
「 い、いや大丈夫だ大丈夫 」
「 ( すごい早口… ) 」
まぁ、とりあえず了承を貰えたのでAは襖を開けた。そこにはもちろん桂がいて、妙に焦っている様子があった。
「 どうした、こんな夜分遅くに……って寝間着じゃあないか! 」
「 ん?あぁそうやった。風呂上がってそのまま来たんやった。ま、それは置いといて… 」
「 どうでも良くはないだろう!! 」
「 ヅラのお説教は長いんよ、“かっぷらーめん”が出来上がるくらい 」
「 三分じゃないか! 」
ヅラの、このお説教も彼が死んでしまってはもう聞けない。彼の声を聞くことも、顔を見ることも、話すことも出来ない。
大切な人を失った彼女の姿を見てAは自分もこうならないようにしないと、と心のどこかで思っていた。
もちろん、この思いは彼女が発端だ。彼女の大切な人の仇とでも言えばいいのだろうか、そう思いAは立ち上がった。
己の大切なものを守るために。
「 ヅラ、私も戦場に行かせて 」
……………【 二冊目 終了】
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運動系引きこもり(プロフ) - 琥珀@中也が尊いさん» 琥珀@中也が尊いさんコメントありがとうございます!分かりました、検討してみます! (2021年2月28日 12時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀@中也が尊い(プロフ) - 表紙がすごい銀魂感。作者様が書かれたのですか?あの、作者様が書かれたのであればもし宜しければ文字がないバージョンを上げて頂きたいです。すっご表紙好きです (2021年2月28日 1時) (レス) id: bc2916a5a7 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - きみをさん» きみをさんコメントありがとうございます。あぁぁあ、ありがとうございます……ッ!更新頑張りますので是非とも本編の方も読んでいってください……!! (2021年1月31日 13時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
きみを - はぁぁぁ好きすぎる、、更新楽しみに待ってます! (2021年1月30日 23時) (レス) id: 2684e373b7 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - リアさん» リアさんコメントありがとうございます……!一気読みしてくださって嬉しい限りです^^本編もどうぞ読んでください!映画は私も泣きました……。これからも応援よろしくお願いします (2021年1月26日 0時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2020年2月9日 17時