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その後は普通に時が流れた。
何事もなく平穏に。ただ桂が猫を触ろうとして引っ掻かれて顔面がボロボロになったり、新しい松下村塾の掃除を銀時がジャンプを読んでサボってたり、高杉がこっそりとヤクルコを買い、飲んでいたり、Aが水撒きをしていたらドジして全身びしょ濡れになったり。
普通の時間だ。
朝ごはんも昼ごはんも食べた。銀時と松陽を残してAと桂と高杉は足りないものを買いに出かけた。
もしかしたら、これがいけなかったのかもしれない。
今日早く起きてしまったのは何かの予兆だったのだろうか。いつもみたく平穏に過ごせたのは嵐の前の静けさだったのだろうか。
変化に気付けたのは三人で帰路についている時だった。
「 おばちゃん お菓子おまけしてくれたから、銀ちゃんや先生のぶんも貰えたなぁ 」
「 それおまけってレベルじゃなくね?しかも全部賞味期限ギリギリじゃねーか 」
「 どうせならお団子とか食べたかったなぁ…… 」
「 なぁ、会話って知ってる? 」
「 ダメだぞA。お菓子を貰えただけ良しとしよう。お団子はまた今度買ってきてやる 」
「 おー!ありがとうなヅラ 」
「 ヅラじゃない桂だ 」
「 無視すんじゃねーぞコラ! 」
両手いっぱいに持ったお菓子を早く持って帰ってみんなで食べたいなぁ、とのんびり考えていたAは、二人にバレないようにつまみ食いをした。───その時。
──────…………パキ、
「 ?ねぇ、二人ともなんかパキッて音せんかった? 」
「 ん?動物が木の枝でも踏んだのか? 」
「 いや、違ェ。微かだがなんか焦げ臭い匂いもする 」
そう、その通りだ。そしてその匂いは忘れもしない“あの”匂い。
鼻にこびりついた、“火”の匂い。
両手に持っていたお菓子をばさばさと落とし、無我夢中で走っていった。後ろから咄嗟に叫んだようにAを呼ぶが、Aは走った。
「 ハァッ… …ハァッ…!」
吐く息が引いてしまう。
いそげ……急げ!!
「 ハァッ…ハァ……ハァ… 」
どんどん強くなる匂い。焦げている、燃えている匂い。
Aの耳に入った声は、
「 松陽先生ェェェェーー!!!! 」
「 ───ッ 」
銀時の、悲痛な声。
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運動系引きこもり(プロフ) - 琥珀@中也が尊いさん» 琥珀@中也が尊いさんコメントありがとうございます!分かりました、検討してみます! (2021年2月28日 12時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀@中也が尊い(プロフ) - 表紙がすごい銀魂感。作者様が書かれたのですか?あの、作者様が書かれたのであればもし宜しければ文字がないバージョンを上げて頂きたいです。すっご表紙好きです (2021年2月28日 1時) (レス) id: bc2916a5a7 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - きみをさん» きみをさんコメントありがとうございます。あぁぁあ、ありがとうございます……ッ!更新頑張りますので是非とも本編の方も読んでいってください……!! (2021年1月31日 13時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
きみを - はぁぁぁ好きすぎる、、更新楽しみに待ってます! (2021年1月30日 23時) (レス) id: 2684e373b7 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - リアさん» リアさんコメントありがとうございます……!一気読みしてくださって嬉しい限りです^^本編もどうぞ読んでください!映画は私も泣きました……。これからも応援よろしくお願いします (2021年1月26日 0時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2020年2月9日 17時