幕府のボディーガードさん4【銀魂】

第185訓-■■■篇-三五 埋まっている女性 ページ35

新八の叫びが木霊する。言葉の通りに出口は塞がれ、あと一歩のところで出られなくなってしまった。

ホント、小説みたいな展開やよね。(小説です)




｢ど、どうするんですか？！｣

｢出口ならここから反対方向にもう一個裏口がある｣

｢でもそうこうしているうちにその裏口も塞がってるんじゃ？｣




新八の言うことは最もだった。とりあえず行くだけ行ってみようと言うと、方向転換し走り出そうとすると、




｢｢…………｣｣

｢ん？どうしたん、二人とも｣




振り返ったまま、動かない。私は何も見えないから状況が掴めない。

上半身を起こして体を捻って前を見てみる。出血が酷かったせいか、目眩はしたが何とか持ち直す。

するとどうやろうか。下半身が埋まっているガタイのいい女性がいた。




｢何がどうなってそうなったん？｣

｢貴様ら！！！逃げれると思うなよ！そこの沖田総悟を殺すよう命じられてるんだ！！｣

｢いや逃げれないのあんたでしょ｣

｢眼鏡！！覚えてるぞ、銀髪の男の仲間だ！あの子を滅多打ちにしたこの卑劣メガネ！！｣

｢なんで僕？！戦ってたの銀さんでしょ！？｣



そんなやり取りの後、沖田さんが私を呼び、ここを崩せばもしかしたら通れるかもと言った。視線を戻し見てみた。

そこには確かに亀裂が入っており、斬りこんですぐ通れば出られるかもしれない。



｢き、貴様ら！おい！わ、私を助けないのか！！｣

｢生憎、自分を殺そうとする奴を助ける慈悲なんざ持ち合わせてないもんでね｣



沖田さんは私を壁際にゆっくり下ろした。……そういえば少し目眩がしてきた。出血多量のせいやろうか。｢姐さんはここにいてくだせェ｣と沖田さんは言うと瓦礫を斬ろうとする。

目眩をしていると自覚した途端、急に体がだるくなった。何度も何度も瞼を閉じそうになる。

すると、ガタイのいい女性は私に顔を向けた。




｢……お前、いおりさんだろ？｣

｢違う……私はAや｣


｢弟であるしずきさんをなぜ拒む。しずきさんはお前の為に、いおりの為にどれだけ努力してると思ってる｣

｢…………｣



何も言えなかった。私が【いおり】でいた時、少なくともしずきはあんな悲しそうな声は出さなかった。

私が【A】になったから───




｢しずきさんはお前という姉さんを、いおりを一番に思っている。爪のあの子と私は何度も何度も何度もその場を見てきた。時々寂しそうな顔をする時も、姉さんの事を話す、楽しそうな顔も。……それなのに、なぜ、｣







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