第183訓-■■■篇-三三 爆発 ページ33
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銀時達を早く助けにいかなきゃと思うよりも前に、この状態で向かったら足手まといになりそう。
…………あ、そういう事か。
「(私……銀時のことばっか考えとる)」
当然の事だ。今更な事だ。大切な私の家族みたいな存在を護ることを考えないなんて無理だ。
でも……銀時に、“先生”について行ったのは何故?
お父様から、戦いの中から、弟を護るため……。
「 しずきは【銀時を護ろうとする私】が嫌なんか。やけど分からんことがある。
確かに私はしずきを、弟のために強くなろうとしとった。けど、今は【彼】や。それはなんで 」
「 ……それを言う必要はある? 」
「…………」
正直、不毛な会話やと思った。腕から流れる血の量は、人間だったらこんな風に一人で立って誰かと話せるはずない。もうこの時点で私は“人間”じゃないんや…。
それを、思い知る。すると、
ドオンッ!!
「キャーーーーーー!!」
「うおっ」
もっと女らしい声は出せんかったんやろうか。
突然地面が揺れた。上の方から火薬が爆発する音、その音は昔よく聞いた音だった。
小さい子の叫び声も聞こえたし、一体なんなんやこの状況。
「…………邪魔が入った。さすがに将軍相手に立ち向かおうとはしない…かな」
「将軍様?」
「姉さんは一体、どれほどの人を惹きつけるのかな。コレも、“核”が変わったせい?」
しずきの声色は悲しみで溢れていて、無性に彼を抱きしめたい衝動に駆けられた。
一歩、しずきの方へと踏み出した私の肩を掴んだのは沖田さんやった。
「姐さん、ここは一旦逃げねェとやばい気がしまさァ」
「……ここが崩れるってことか?ここがどこか知らんけど建物なら──」
何とか抜け出せると言いかけたその時、
「ここは船だ。もし沈んだら、片腕のない姐さんでもどうにもならねー」
「船?ここが?」
ここでようやく私がいる場所が分かった。目覚めた場所が弟の部屋そのままで、勝手に建物だと思っていた。こんなに入り組んでいたのか、と疑問には思ったけれど。
沖田さんは私のもう片方の腕を引っ張ってくる。
でもここが沈むというのならしずきはどうなのだろうか。
「しすぎ……」
私が名前を呼ぶが、しずきは少し微笑んだままだった。よく見れば彼の目に光なんてなかった。
「またね、姉さん」
「し───」
「Aさん!沖田さん!こっちです!!早く!」
新八の声が聞こえて、私は沖田さんに俵担ぎされその場を後にした。
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運動系引きこもり(プロフ) - 七瀬未来さん» 七さんへ。字数制限での縮め方は目を瞑りましょう。たくさんの感想を聞けて嬉しかったです。挿絵は頑張りました。もっと褒めて欲しいです。P.S七さんも5巻出せるよう頑張ってください。コメント書きに行きます、 (2021年2月8日 11時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
七瀬未来(プロフ) - 運こへ。東雲さん沖田くんと仲直り出来て良かったです……。あと東雲さんの表情筋が段々と緩んできてるのに読んでる私も頬も緩みました。人形マダオとギャル男とのお話も頑張って下さい!PS.挿絵素晴らしかったです。銀しの推しだったけど沖しのにもグッと来ちゃったよ (2021年2月7日 13時) (レス) id: e97d6b826d (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - 睡眠足りない布団好き女子さん» ようやくこの画像出せたよ……!うん、恋愛って難しいからね(なんで逆ハー書いてる?) (2021年1月21日 23時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
睡眠足りない布団好き女子(プロフ) - あの画像がまさかここで使われるとは.........!! 次が超絶気になる〜!!!! 楽しみにしてマース!! てか、これ逆ハーやったって今思い出した笑 (2021年1月21日 23時) (レス) id: 9e26011d22 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - ポケットの案内人さん» そうですそうです! (2020年9月19日 12時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2020年4月14日 13時