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第67訓-紅桜篇-八 殺戮の鎧 ページ17

【Noside】


長い事闇の中にあると、目玉には映らん微かな光でさえ拾えるようになる。


紅桜と木刀がぶつかり合えば、岡田似蔵は口を開く。


「白夜叉。かつての英雄。ならば、”殺戮の鎧“を知ってるかィ?」

「!」

「男かも女かも分からん。いや、聞いた話によれば二メートルの大男やカラクリだと聞いていてねェ。カラクリが仕込まれた大剣を振り回し天人共の頸を掻き切った。」

「よく喋るな。」

「興味があるんでね。教えてくれんかね。」

「教えたところで意味なんかねェよ。」




”殺戮の鎧“。
全身を鎧で覆い、強さは一級品。天人の頸を掻き切る。
しかしその名を知っている者は少ない。だから攘夷戦争に参加し、生き残った者は殺戮の鎧の事を“影の英雄”と呼ぶ。


その中の人を知らずに。


正体は大男でもカラクリでもない。紛れもない女なのだ。

─────Aなのだ。


女が戦争に参加するのはダメだ。相手に舐められる、という、何かと理由をつけて戦争から遠ざけようとするとAは言った。



「なら、顔を隠せば女だと気付かれない。鎧でも仮面でもなんでもして戦場に出る。先生を助ける。」



流石に言い返せなかった。事実、Aは前線に出て戦績を上げていった。声も出さず、ただ天人を殺していった。



だから、戦争が終わった後は皆誓った。もう彼女を戦場に出さないと。銀時がAを拒絶したのはその為だ。自分がいると戦いに巻き込まれてしまうかもしれないから。

桂だってAを連れて行けばおそらくこんな風に幕府転覆など図らずAと共に静かに暮らしていただろう。


でも事はそう思い通りにいかない。


再会したと思えば幕府に仕えて、こんな戦場に出ている。



銀時は一人の女の事を思い浮かべ、昔を思い出していると岡田似蔵はフフフ…と汗ばんでる顔で笑う。身体が限界なのだろう。




「そうかい。それは残念だ。そういえば調子悪そうだねェ。傷が開いちまったかい?」

「そういえば顔色が悪ィじゃねぇか。腹でも下したか?」




紅桜、木刀がまたぶつかり合って火花を散らした。

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miraiwalk8(プロフ) - ありがとうございます!夜はぐっすり寝てくださいwこの紅桜篇でも楽しんでくれると幸いです! (2019年8月5日 2時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
ポンポネッラ(プロフ) - 遅くなりましたが続編おめでとうございます ! 2 作品目は紅桜篇ですか ! しかも高杉氏の「俺と来い」発言 ? ! 興奮して夜しか眠れません…… ! 次の更新も楽しみに待っております ! (2019年8月5日 0時) (レス) id: d2be23fc95 (このIDを非表示/違反報告)
miraiwalk8(プロフ) - 桜匁さん» ありがとうございます!!ほんと、コメントが嬉しすぎます…!ノロノロな更新速度ですが、今後ともご贔屓に宜しくお願い致します!!! (2019年8月4日 11時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
桜匁(プロフ) - 続編おめでとうございます! 今回は紅桜篇なのですね! また東雲さんのカッコいい姿が見られるかなーと今からでもワクワクしております! カブト狩りの回のお話も面白くて続きが今からでも楽しみです。 作者様のペースで頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2019年8月4日 8時) (レス) id: 58c26fa576 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2019年8月3日 16時

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