第62訓-紅桜篇-三 大切な人 ページ12
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もう何もかもされるがままになってたら牢屋に入れられ手鎖をかけられた。…解せぬ。
もしかしてこれがおもてなしみたいなやつか?だとしたら晋助の常識を少し疑うな。まぁ、そんなわけないんやろうけど。
晋助達は私が幕府の人間だと知っていたんだ。そりゃそうか、敵をみすみす逃すようなお馬鹿さんやないもんね。
手を動かせばジャラ、と分厚い鎖の音。
少し湿ってる冷たい地面に灯りが蝋燭一本。
目の前には太い鉄格子、それを挟んでこちらを見下ろし睨んできている拳銃を二丁もった金髪の女性。
「……………。」
「いつまで待たせる気ッスか!?さっさとここに潜入した理由を吐くッス!」
「……いや、理由って言っても晋助に会いに来ただけやで。」
「敵が晋助様に会いに来たって、アンタは晋助様のなんなんっスか!?」
「なんなんって…晋助の…、」
なんなんやろうか、私にとっては家族みたいに思っとるけど…。
「………大切な人、かな。」
私にとっては、って意味やけど。
「な、な……」
私に向けられていた二丁の拳銃は小刻みに揺れだした。どうしたのかなと少し首を傾げてみれば来島さんが「う、嘘っス!」と叫び出した。
いや、嘘って言われてもこれは私にとってはやからやよ??二回も言ったけど。
「また子さん諦めるしかないですよ。晋助殿のあのようなお顔を私達は見たことありません。」
「武市先輩!どこ行ってたんスか!」
あの人さっき会った人や。
私は自分の手元を見た。随分と分厚い手鎖だが、簡単に引きちぎることが出来る。この鉄格子も斬れんことないけど刃が傷つくから何回か蹴って歪ませてから斬るか。
そんな風には悶々と脱出の方法を考えていた。
するとあの二人は何か話していたが、何処か行くらしい。扉の方に向かっていた。
「(そういえばさっき来島さんえらい慌てとったなぁ…。ハッ、真逆そういう事か!?)」
事の重大さに気づいた。私が大切な人なんて言ってしまったから、来島さんは真逆…!(発想が中学生)
「なぁ、来島さん…やっけ、勘違いやったら悪いんやけどさっき言った大切な人って私にとってはって意味やから。晋助が私の事どう思っとるか分からんからな。」
「そ、そんな弁解もらっても嬉しくないっス!」
「いやはや、晋助殿もまた子さんも大変ですねぇ。」
あの、武市さん?の言っとる事はよう分からんかったけど私も普通の人みたいに恋バナとか色々してみたいわぁ。
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miraiwalk8(プロフ) - ありがとうございます!夜はぐっすり寝てくださいwこの紅桜篇でも楽しんでくれると幸いです! (2019年8月5日 2時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
ポンポネッラ(プロフ) - 遅くなりましたが続編おめでとうございます ! 2 作品目は紅桜篇ですか ! しかも高杉氏の「俺と来い」発言 ? ! 興奮して夜しか眠れません…… ! 次の更新も楽しみに待っております ! (2019年8月5日 0時) (レス) id: d2be23fc95 (このIDを非表示/違反報告)
miraiwalk8(プロフ) - 桜匁さん» ありがとうございます!!ほんと、コメントが嬉しすぎます…!ノロノロな更新速度ですが、今後ともご贔屓に宜しくお願い致します!!! (2019年8月4日 11時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
桜匁(プロフ) - 続編おめでとうございます! 今回は紅桜篇なのですね! また東雲さんのカッコいい姿が見られるかなーと今からでもワクワクしております! カブト狩りの回のお話も面白くて続きが今からでも楽しみです。 作者様のペースで頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2019年8月4日 8時) (レス) id: 58c26fa576 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2019年8月3日 16時