第61訓-紅桜篇-二 あくまでイメージ ページ11
【Aside】
同時刻。
波と音と三味線の音が合わさって、落ち着く。
多分誰もが風流もんだな。と思うやろう。
場所はとある船。その船先で一人、いや、二人。
「(月光がある筈なのに、暗く見えるのは何故だろう。)」
※桜はイメージです。
「………よォ。」
三味線を弾くのをやめ、そのまま私に背を向けた状態で話しかけられる。
辺りは波の音だけになった。
呼びかけるその声は懐かしく感じるもので、思わず目を細めた。
「敵船に堂々と侵入とは…破天荒な女になったモンだなァ。」
こちらを振り向いた彼はクク…と笑う。どことなく悪い顔ではなく、何か愛おしい物を見つめているような、そんな優しい顔をしていた。
いや、愛おしいとか言ったけどイマイチ分からんな。
「たまたま町の人が話しとったのを聞いたんや。“攘夷浪士が乗っとる船がある“って。」
「それだけで、なんで俺だと分かった。」
「なんとなく、や。」
もし違ってたらひっ捕らえて真選組が見廻組に引き渡せばいいかな〜と思っとったから。
そんな事より私にはもし晋助に会えたら言うことがあった。そして言ったら早く帰ろう、仕事が山積みだ。
「晋助、私は貴方に言うことが──、」
「晋助様ァァァ!!ご無事っスか!!」
いきなり大きな声が聞こえたと思ったら後頭部に冷たい何かを当てられる。
「侵入者め!晋助様に仇なす者はこの“紅い弾丸“来島また子が地獄に送ってやるっス!!」
「アンタは晋助の仲間なんか?やったら仲良うしてや。」
「話聞いてたっスか!?」
更に私の後頭部に冷たい何か……拳銃を押し当ててくる。
すると晋助が来島さんに制止の言葉をかける。
「また子、やめとけ。お前じゃあその女には敵わねェよ。」
「そ、それはどっちの意味っスか!?」
晋助は何も答えず、「取り敢えずやめろ、そいつは俺の客人だ。」と言う。
「きゃ、客人っスか…?でもなんで侵入なんて真似を…しかもコイツ幕府の人間っスよ。」
「破天荒な女なんでな。また子、そいつを連れてけ。場所は武市にでも聞け。」
「は、はいっス。」
ん?連れてけ?いやいや、
「待ってや、晋助!私はすぐに話して帰るつもりで…」
「……。」
それ以上は何も言わず、私は来島さんとその他の攘夷浪士達に連れて行かれた。
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miraiwalk8(プロフ) - ありがとうございます!夜はぐっすり寝てくださいwこの紅桜篇でも楽しんでくれると幸いです! (2019年8月5日 2時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
ポンポネッラ(プロフ) - 遅くなりましたが続編おめでとうございます ! 2 作品目は紅桜篇ですか ! しかも高杉氏の「俺と来い」発言 ? ! 興奮して夜しか眠れません…… ! 次の更新も楽しみに待っております ! (2019年8月5日 0時) (レス) id: d2be23fc95 (このIDを非表示/違反報告)
miraiwalk8(プロフ) - 桜匁さん» ありがとうございます!!ほんと、コメントが嬉しすぎます…!ノロノロな更新速度ですが、今後ともご贔屓に宜しくお願い致します!!! (2019年8月4日 11時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
桜匁(プロフ) - 続編おめでとうございます! 今回は紅桜篇なのですね! また東雲さんのカッコいい姿が見られるかなーと今からでもワクワクしております! カブト狩りの回のお話も面白くて続きが今からでも楽しみです。 作者様のペースで頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2019年8月4日 8時) (レス) id: 58c26fa576 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2019年8月3日 16時