異界奇譚怪奇心霊オカルト部 (ページ15)

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第３の怪踏み切り弐ページ15

女と目があった。此方をじっと見ている。………いや、俺の方を見ていない。目線が横にずれている。隆さんの方に向いていた。いつの間にかニヤニヤ顔もしておらずに女の方を見ている。夕焼けの踏み切りに、人間二人と幽霊一柱、他には誰も居ない。何もない。何も………無い………。横着をして跳ねられたのか？それとも自ら命を……。それにしては、踏み切りの隅の方に何も無かった。花束もお菓子も飲み物も手を合わせてる人さえ。この幽霊、何かおかしい。言い様の無い恐怖を覚える。幽霊は、此方に一瞥すら送らずにゆっくり消えていった。隆さんは、興味無さげに話し掛けてきた。

「あの女、ここで死んでないな。」

「え？嘘………分かるん？」

「この踏み切りに来たときから面白そうな気配を感じたんだが、踏み切り周りを見て違和感を覚えた。もし本当にここで死んだなら新聞ぐらいなら取り上げられる筈だが俺の記憶にそれは無い。それに、地元だからこの街の事はよく知ってる。ここで、跳ねられた奴は動物ぐらいしか居ない。それに、気付いてたか？」

「な、何が？」

「お前の方、見てなかっただろ。じっと俺の方を見てた。いや、俺が憑けてる奴を見てたんだろう。変わった奴を憑けた面白い奴が居るな程度で俺を見てたな。中々、勘が鋭い幽霊だったな。」

そう言ってまたニヤニヤ笑う。この人が憑いてるものとは一体………。いつの頃だっただろう、この人からたまに影が伸びてきて暗く、黒く、恐ろしく感じるようになったのは。多分、あの廃病院に行ったときだろうか。透と他数人で肝試ししに行ったあの廃病院。霊に追い掛けられてたまたま居合わせた隆さんの横を通り過ぎて後ろを向くと、まるでそこに化け物が居るような恐怖にひきつった顔をして恨めしそうに隆さんを睨むその廃病院の幽霊を俺はただただ呆然と見ていた。初めて人が怖いと思った瞬間だったのだ。怖い話をしているときもそうだった。たまに、顔に影を落とす。この人は、一体何処に行くのだろうか。それを考えるだけで怖くなってしまいいつの間にか疎遠になってしまったあの頃。今も時々思うときがある。隆さんと別れて、家路に着く。あの踏み切りの幽霊は、興味本意のような悪意を感じた。多分、隆さんに引かれたのだろう。母さんが「ご飯の前に風呂にでも入ってきな。」と言ってきた。俺は、軽い返事で応答して風呂場に向かう。服を脱ぎ、脱衣室を後にして風呂場の戸を開く。そこに、踏み切りの女が俺を待っていた

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