6つの色と色彩世界。【ワイテルズ】 (ページ47)

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そして懺悔とこれからをページ47

～NoSide～

彼…戦闘狂と言われたシャークんが、目の前で赤い瞳を燃やすNakamuに向かって、両腕を広げた。
「⁉シャークん⁉」
「ちょ、シャケ！」

彼はじっと静かにNakamuを見る。すると見られた水色がゆっくり口を開いた。
「…何。殺されたいの？」

彼の声色はとても自分らの中で一番声が高く、何時も明るい彼のものとは思えなかった。
それに対抗する様に、シャークんが叫んだ。

「…Nakamu。」
「…」

「俺を殺せ。…殺せるもんならやってみろ！…俺は信じてる。お前は絶対に。
絶対に俺を殺せないっ！」
「…！」

「シャークん！」
ぶるっくが叫ぶ。

彼はポケットからダガーを取り出すと、ぽいっとそれを地面に投げた。

それを否定するかの様に、紅くなった水色が笑った。
「…シャケ。教えてあげるよ。俺は、俺は人殺しなんだって！皆のリーダーが、人として一番やってはいけない事をしたって！…結局俺は、弱い力で全てを殺すしか、出来ることがない…」

しかし、その場にいたNakamu以外の者は彼の声が震えているのに気づいていた。
彼を突き動かしているのは呪いによって操作されたどす黒い「殺意」と「抹消本能」。

彼のずっと隠していた過去がいつしか彼を縛る呪いに成り、猛獣と化して牙を剥いた。

でも、

心優しい緑色の戦闘狂は、それを知っていた。
「…Nakamu。お前は今、あの時の俺と同じ瞳をしてる。だから、同じ言葉を贈るよ。」
「…俺は」

「もう大丈夫だよ」
そういうと彼は、今彼に出来る精一杯の力で笑う。Nakamuに、
Nakamuがずっとしてくれたみたいに。

「…シャケ」
「さ、殺るんだったらさっさとしろよ。…腕疲れて来たんだけど」
「…俺痛いの苦手だからさ、一瞬で死ねるように頼むよ？」

しかし、そんな弱気な事を言う彼の瞳は真っ直ぐに彼を見ていた。
対照的に、紅色に成った水色の瞳は揺れている。

次の瞬間、その水色は現実を殺したい欲望に負け走りだす。緑色が若干の恐怖を見せるが彼は、そのまま立っていた。
「う…うわあああああああああっ‼」

彼の腕がナイフを振り上げる。
ぶるっくときんときは見たくなくて目を瞑った。

…

カランッ…。

彼らが聴いたのは生々しい音では無く、
ナイフの落ちる乾いた音だった。

目を開ける。
彼は武器を振り上げた態勢のまま、その手に握られていた武器を落とし涙を流していた。

「...ははっ…」
「…やっぱりシャケには、勝てないなっ...」
その声は震えていた。