6つの色と色彩世界。【ワイテルズ】 (ページ36)

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Green ページ36

～きんときSide～

「そんな...の...可笑しいよ…」
案の定、彼は狼狽えている。俺は彼に伝える。

「俺も訳が分かんない…だけど、だけどお前は…。お前は本物の『きりやん』だよなっ！？」
「ああ、それはそうだけど…」

「2人共！」
ぶるっくの詰まった声に、俺たちはそちらを向いた。
指令室の白い壁が、茶色い土煙を上げて崩れる。
「っ！」

そこに居たのは。
「こんなの…狂ってる...」

先程逃げて来たきりやんと。
もう、一人。

「シャークん…？」
ぶるっくが呟いた。

指令室の人々は、それを見て逃げ出していく。
指令室のコンピューターなどは全て置き去りだ。

まずい、此処が落ちたら…
この基地は落ちる！

嗚呼、でもどうやって。
相手はさっきの奴ともう一人、俺らの中で一番力があった奴。
今はその位をNakamuに獲られているが…。

あれ？
どうして、思い出しているんだろう。
そう思った時、肩が痛んだ。

まるで思い出すのを拒絶しているかの様に。

「デスファイア」

その声で彼が、その『デス類』を唱えるのが判った。
その少しの震えから、彼がそれを使うのに少しばかり躊躇しているのが読み取れる。

「…駄目だ、ぶるっく！」
いや。

『止めろBroooock！Nakamuが未だ…』

Broooock…？
～きりやんSide～

やばいやばい！急いでセキュリティ戻さないと…！
でもここには10台程のスーパーコンピュータがあるんだぞ！？
それ全部を治すには...

しかもなんか訳の分からない奴もいるし。
でも俺が混乱したら此処は終わりだ！

ぶるっくが大きな魔法を唱えるのが判る。

でも、それは避わされた。
ぶるっくがふらっときんときにもたれ掛り、敵の2人は彼らに近づく。

そうだ。
『あの時』起きた力がもう一度使えれば、彼らを守れるかもしれない。

でも、魔法を使う時は基本呪文が要るっぽいし。
それを忘れてしまったのに。

結局なにも出来ぬまま、彼らは杖を振り上げた。
その赤い瞳を見た時。何故か、声が聞こえた。

『パーフェクトデフェンスバリア』
！

そうだ。
彼奴は...

咄嗟の判断で一番優先度が低いコンピュータを投げつける。
一瞬困惑する4人。

その隙間に入り込み、呪文を曖昧な記憶で叫んだ。

「「完全防御結界！！」」
もう一人の自分の、赤い瞳に。

～
そしてその腕が、「もう一人の自分」に触れた時、全ての記憶が戻った。