6つの色と色彩世界。【ワイテルズ】 (ページ22)

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不思議な力ページ22

～きんときSide～

な、んだ…？
何が、起こった…？

俺は今、何を...？

敵と戦っている時、急に右肩に途轍も無い痛みを受けた俺の体は、起き上がろうにもさせてくれなかった。

「ぐっ…」
意識を失ってなるものか。必死に痛みに喰らい付く。

でも。
「いたぞっ！こっちだ！」

その声は待ち望んでいた味方の声ではなく、敵の声だった。

やばい…

そう思った時、聞こえた。
「きんときっ！」

今度は、味方の声だ。
俺はゆっくり顔を上げる。目に入ってきたのは、
きりやんの姿だった。

「きり、やん？！来ちゃ…駄目…！」
掠れ声で叫ぶ。

彼は戦闘要員じゃないのだ。
こんな戦場に出れる訳がないのに。

～きりやんSide～

見えた！
きんとき…！

俺はきんときの危篤を知って、攻撃されているPCを放り投げて走って来た。
思ったより冷たく重たい、初めて手に持つ本物の剣を右手に持って。

「きりやん…」
きんときが口を開く。
でも掠れていてよく聞き取れなかった。

「きんときっ！頑張れよ！？」
俺は彼の元に着くと、反対側に向き直った。

次の瞬間、敵兵が攻撃を再開した。
俺は驚いて目を瞑ってしまい、そのまま剣を横に振る。

ばしゃっと血飛沫。本物を見るのは初めてだ。
「うわっ…」

そう愚痴っぽい声を漏らす間も無く、今度は3人が一気に。

3人は無理でしょ！？
そう一瞬焦ってしまった、その結果。

2人に攻撃が当たったが、もう一人の振り上げた剣が、俺の右腕を翳めた。

「…った！」
痛みに構っている暇は無く。最後の一人も切ると周りを確認する。

5～6人…
今度は本当にやばい！

その奴らが一斉に飛びかかって来た。
俺も、死を確信した。

恐らく、きんときもだ。

目を再び瞑った、その時俺の頭の中に一つの迷いが生まれた。

…しゃしゃり出てきて「やられちゃった」なんて最高にかっこ悪い。
確かに、俺は非戦闘員。でも…

「…非戦闘員だから闘っちゃいけないって誰が決めた？」

「ごめん。俺お前の事過信してた、きんとき。でもこれからは成るべく確認する様にするよ。」

そう言って剣を振り上げた瞬間、目を疑う様な事が起きた。

「お前ら、俺の親友に触んな」
そう言った時には、俺の周りに居た敵兵は皆、遠くに飛ばされてしまっていた。

「あれ…？」
よく見ると、俺の周りには黄色の透明で神秘的な光の膜が有る。

手を伸ばす。触れることが出来た。

人…。『魔法世界』の人々はそれを。

『完全防御結界』と呼ぶ事を、俺は忘れていた。