苦悩の審判 ページ34
〜NakamuSide〜
乾いた指を鳴らす音が響く。
その瞬間、右手に冷たい質感を感じた。
もしかして。
俺は彼の「裁き」の意味を知り、恐る恐る視線を下に向ける。
そこには、
俺が親友を打ち抜いたのと同じ拳銃が握られていた。
「っ！！」
反射的に手を放す。
「え、え！？」
頭の中で困惑がぐるぐる回る。俺は焦っていた。
あの時みたいに、大事な人を。
殺してしまう。
離そうとした手には、拳銃がびったりとくっついていた。
「スマイル、これ…」
「...ごめん。こんなこと頼んで」
「何をさせる気」
「その拳銃は、俺を撃つまで離れない」
「っ！？」
どっくん、心臓が波打つ音が脳内で何度も鼓動する。
「スマイルお前正気かよ？」
彼は口を開いた。
「...俺の存在がお前らに迷惑かけた。きんときやシャケとかさ」
「だからってお前が死んだほうが俺らは悲しむし、そっちのほうが迷惑だ」
「…だからさ、リーダーが裁け」
「無理と言ったら？」
すると彼は、暗い、黒い笑みを浮かべた。
こんな彼の笑顔を見たことがなかった。
いつも意地悪そうに笑うことはあるが、完全に堕ちてしまったのか。
「俺が自分で死ぬ」
〜BroooockSide〜
彼がその言葉を発した瞬間、空気が止まった。
いや、時間が止まったような感覚を覚えた。
きんときを見てしまうが、そのような素振りは一切無く。
それが今のこの場の雰囲気であると流石の僕も察する。
Nakamuは、何も言わずにがたがた震えながら、拳銃を構えた。
その銃口は揺れているが、確かにスマイルの方を向けている。
彼の精神状態は今恐らく異常だ。
スマイルはワザとあの拳銃を選んだんだろう。
過去に囚われて自我を忘れた僕らの水色は、パーカーをさらに染めることになる。
そんなの見たくない。
「Nakamu!」
咄嗟に叫ぶ。
そのまま、無言の時間が続いた。
「Nakamu…」
少しの無言の時間の後、彼が笑った。
「ははは...ははははっ…！！そういうことか、そうすればいいんだよ！」
「Nakamu…？」
笑いが収まった後、彼は茶髪を掻きあげて、スマイルに言った。
「スマイル。おいおい、俺舐められたもんじゃねえかｗｗｗ」
「俺はさ、もう昔とは違うから。銃の腕もお前より上手えよ」
「いい加減気づかねえのか？俺らはさ、一人でも欠けちゃダメなんだよ」
すると彼は、拳銃をしっかりスマイルに向けて言い放った。
「おかえり、スマイル！！！」
「Nakamu!!??」
僕が止める間もなく、乾いた銃声が響いた。
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すみれ - 完結からずいぶん遅れましたけど完結おめでとうございます!とてもいいお話でしたよ!最高のお話ありがとうございました (2022年10月19日 17時) (
レス) @page38 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
らっきー(プロフ) - 更新遅れてほんっとにごめんなさい…。ていうか今日の掛けあい分かりにくっ？！ちゃんとスペース開けたのに…。 (2019年7月23日 20時) (レス) id: db40170fca (このIDを非表示/違反報告)
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