6話 - 私の居場所 ページ6
『んぅ…ぅ………』
いつの間にか眠っていたようで、目が覚めた頃にはあの男の人が持ってきてくれたお弁当が既に冷めきっていた。
首にそっと触れ首輪が着いているの分かりホッと息を吐く。
寝てしまったからなのか、首輪がある安心感からなのか分からないけれど、さっきまで騒がしかった心臓は冷静さを取り戻していた。
『………………食べなきゃ…』
ここから逃げ出すにもこのままじゃすぐにまたさっきの人たちに捕まってしまう。
これが罠でも、逃げてご主人の元に帰ることを優先に考えなきゃ
ゆっくりとパンに手を伸ばして口に運ぶ
余り食欲もなく少しずつ食べていると扉をノックされビクッと小さく身体が揺れる。
私の返事が無いからかゆっくりと扉が開き、ひょこっと顔を出したのはさっき名前を教えてくれた男の人だった
諸「良かった食べてくれたんだ。」
ギュッと片手で服を握り締め、なるべく距離を開けるように後ろへ下がる。
ベット脇の机にコトッとコップを置き再びベットの横に座り込む
諸「コンポタージュ作って見たんだけど良かったら飲んで。」
『…………んっ…』
諸「! 隣の部屋に居るから、何かあればオレに言って。欲しい物があれば準備するから」
『……』
ニコッと笑みを向け再び部屋を出ようとする男の人に『あの…』と小さくだが声をかけた。
すると、ピタッと動きを止めこっちを振り返る
「ん?」と普通を演じながら私に声をかける男の人に視線を一瞬逸らし生唾を飲み込む
『……私…帰れないの…?』
諸「…………帰りたい?」
『……』
首をゆっくりと横に振り握る手を強くする。
諸「そっか……保証はしないけど帰れるよ。君の居るべき場所に」
『…………居るべき…場所……?』
諸「そう。だからもう少し待って……大丈夫。オレが絶対に君を守るから。」
それだけ言うと男の人は部屋から出ていった。
私の、居るべき場所…そんなの、ご主人の所しかないのに……
どうしてさっきの人は "居るべき場所" だなんて言ったんだろ…………
463人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ネコ枕 - 景光落ち最高です..話も面白くてすごい好きです!! (1月14日 2時) (レス) @page47 id: eb7a4a6b55 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みらい@マサイ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mirai1212
作成日時:2023年12月6日 19時